2015 Fiscal Year Annual Research Report
学校施設における津波避難プロセスと避難拠点配置に関する基礎的研究
Project/Area Number |
26820253
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊池 義浩 岩手大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50571808)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南海トラフ地震 / 津波災害 / 学校施設 / 避難空間 / 避難計画 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学校施設の地域コミュニティに基づく防災・避難拠点としての機能に着目し、既存施設における減災対策と、安全性を向上させるための配置計画について探求することを目的としている。平成27年度は、第二の課題である「東海および東南海・南海地方における小中学校の避難計画と避難空間設置の検討」に取り組んだ。 調査対象は、静岡県および和歌山県の沿岸市町村にある小中学校のうち、「両県が公開している津波浸水想定域の範囲に含まれる学校および津波浸水想定域から約500m以内に立地する学校」設定し、合計289校を抽出した。それらの学校を対象に、津波避難対策に関するアンケート調査を実施して102校から回答を得られた。また、地形条件や人口・施設の集積規模から数校を選定し、現地でのヒアリング調査も行った。 これまでの調査結果分析から得られた結果として、1)津波浸水想定が3m以上のところに立地している学校も一定数みられる反面、津波避難場所として指定されている学校が多い。また、特に静岡県では人数が大勢の学校もあり、避難にかかる移動時間や収容スペースも検討する必要がある。2)多くの学校で緊急避難場所を事前に決めており、2次緊急避難場所まで計画している学校も少なくない。静岡県では「校舎の上階・屋上」、和歌山県では「敷地外の高台」を計画している傾向が表れており、各々の空間特性における問題点の特徴が明らかとなった。3)津波避難に作用する要素として、津波避難場所指定の有無や地勢的な条件と移動パターンとの関係性から、避難空間計画の地域特性について把握した。 以上、南海トラフ地震の対策に向けて、現地の小中学校における津波避難計画の実態と課題を捉えることができた。また、調査を通して東日本大震災の被災経験を伝えることもでき、各学校が現場での津波避難計画を再検討することで、さらに対策が促進されていくことが期待される。
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Research Products
(4 results)