2014 Fiscal Year Research-status Report
世界遺産候補「古都ベルガマ」の密集住宅地における「防災ひろば」の配置分析と提案
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26820264
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
狩野 朋子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (40552021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防災ひろば / 世界遺産 / 密集住宅地 / 保存・防災計画 / Bergama, Turkey / 国際情報交換 / ユネスコ課 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象地のベルガマ”Pergamon and its multi-layered cultural landscape”は、平成26年6月に世界文化遺産に登録された。これにより、平成26年度には、これまでの研究成果を論文として取りまとめ、アテネ並びにイスタンブールで発表した。
本研究テーマである「防災ひろば」については、現在、地元自治体が中心となり防災対策を検討中であるが、具体的な計画には至っていない。そこで、平成27年3月21日から24日まで、研究協力者とともに現地調査とフィールドワークを実施した。 現地調査では、ユネスコ課と建築設計事務所等へのインタビュー、市長面会を実施し、世界遺産登録時に作成された保存・防災計画、世界遺産の登録エリアの各種地図データ、登録に至るまでの経緯や各種研究成果がまとめられた書類を入手した。フィールドワークでは、密集住宅地で「防災ひろば」として機能し得る広場の写真撮影と地図へのマッピングを実施し、住宅地内にも水を供給できる場所(チェシメ)があることを確認した。また、登録エリア内のバザールでも「防災ひろば」の必要性を痛感し、同エリア内の広場の調査も実施した。 密集住宅地ならびにバザールには消火設備が設置されているが、いずれの路地も迷路のような形態で幅員も狭いことから、災害時に住民たちは避難できても、観光客は逃げ遅れる可能性がある。また、現在、広場として機能している空間が日常的にも人々の憩いの場になっているのかについても確認をした結果、常時人が集まってチャイを飲んでいる広場もあれば、アクロポリスへの眺めも確保されている景観的に価値のある広場もあることが判明した。 現在、これらの調査結果ならびに自治体との継続的なやり取りの成果を、研究論文として取りまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地調査と入手済みの情報を統合して平成26年度中に作成予定であった分析基礎データが、まだ完成していない。 その理由として、平成26年夏に実施予定の現地調査が平成27年冬(3月)にずれこんだため(平成25年10月20日から平成26年2月28日まで産休・育休を取得しており、事前準備が遅れたため)、実際の研究計画よりも半年遅れている状況である。また、現地調査にて、道路中心線データを発見できなかったため、密集住宅地内の道路中心線データの作成作業に時間がかかっていることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在作成中の道路中心線データと各種空間情報を重ね合わせて、構成要素別(住居、モスク、路地、広場を含む各種施設)にレイヤ化された分析基礎データを早急に整備して作成する。そしてGIS(既に導入済み)上で閲覧、分析できるように作業を進めていく予定である。 平成26年度内に実施予定の「「Mahalle」の空間システムの解明」に関しては、平成26年度に実施した現地調査にてある程度の予測がついているため、平成27年度前半には明らかになる予定である。 平成27年度に計画していた広場の分析と評価については、上記の分析基礎データならびに「Mahalle」の空間システムの解明後、夏以降に実施予定である。
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Causes of Carryover |
分析基礎データはこれから作成するため、その作成に関わる費用(謝金等)が残っている。また、分析基礎データの作成後、データ内の文字の翻訳を実施する予定であるため、その翻訳に関する費用が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年夏までに分析基礎データを作成予定である。その際に、データ作成の協力(謝礼金)、そしてGISの利用に関する知識や情報交換(謝礼金)時に使用する予定である。 また、継続的に自治体やユネスコ課とのやり取りを行っているが、データ作成時にも現地情報を入手することになる。自治体とのコンタクトを行う際の協力(現地協力者への謝金)や資料や情報をトルコ語から日本語へ翻訳する翻訳費(翻訳者への謝礼金)として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)