2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者施設・地域施設における機能拡張性・機能代替可能性に関する研究
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26820266
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木 宏一 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (60514875)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者施設 / 地域施設 / 多機能性 / 機能拡張性 / 高齢者サービスの代替可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度の研究調査計画として、H27年度実施した熊本県内・新潟県内における地域施設・高齢者施設に関するアンケート調査から、多機能性を有する事例、及び機能拡張性・機能代替可能性の検証可能な事例を抽出し、利用者に対する利用実態や利用による暮らしへの影響、具体的には高齢者福祉サービスに依存せずに自立した暮らしを組み立てられる構造の解明を行うためのアンケート調査実施予定であった。2016年4月14日に発生した熊本地震により、調査を検討していた事例の所在地も大きな被災を受けたため、H28年度の調査計画について、次年度(H29年度)に延期することが余儀なくされ、H28年度は、アンケート調査で得られたデータの分析・研究成果の公表に専念することとした。分析の中心として、多機能性・機能拡張性・機能代替可能性が高い「地域施設」に絞り、2016年度日本建築学会大会にて3題の発表、及び、ニューサイエンス社・地域ケアリングへの論文投稿を行った。分析結果として、「日帰り温泉施設」では、日常的な通い・サロンの機能、多世代との関わりの機能、「図書館」では、日常の暮らしの日課の場・高齢期を豊かにする生涯学習の機能、「公民館・コミセン」では、高齢者同士のサークル活動の場・互いに学び合う場としての機能といった、高齢者福祉サービスを代替・補完できる有意義な機能が確認された。また、追加の対象施設としての「体育館」の施設に関しては、利用高齢者の暮らしの「充実」をもたらす諸要素・構造が明らかとなり、体育館のトレーニング室を利用することによる身体機能・健康状態の向上や、さらなるやる気の高まりなど、暮らしの積極性を高める優位なプラスのサイクルの構造を有することが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年4月14日に発生した熊本地震により、調査予定であった施設の地域も被災を受け、施設利用者へのアンケート調査の実施が困難となり、H28年度に計画していた調査計画を大きく変更(延期)せざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度では、昨年度(H28年度)実施予定であった、熊本県・新潟県内の地域施設・高齢者施設の利用高齢者を対象としたアンケート調査を実施し、本研究の最終年度として、高齢者福祉サービスの依存度を低め、より自立した暮らしを成立させる機能拡張・代替可能性に向けた諸要素を整理する予定である。調査予定施設としては、高齢者施設12事例程度(熊本県:6件、新潟県:6件)、地域施設24件(熊本県:12件、熊本県:12件)を想定しており、熊本県内の事例に対しては、地震発生から1年が経過し、徐々に暮らしに日常性が回復しており、調査に際して、考慮は必要なものの、地震発生以前の利用の状況や、地震後の施設利用の効果も含めて、調査を行う。
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Causes of Carryover |
H28年度実施予定であった、熊本県内の施設利用者のアンケート調査が震災により実施が難しかったため、調査に係る旅費、および郵送費、その他備品の購入が未使用であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度では、前述したアンケート調査への調査旅費、郵送費、および関連する備品の購入に当てる。
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