2014 Fiscal Year Research-status Report
香港におけるカトリック教会堂の営繕活動とその価値評価に関する研究
Project/Area Number |
26820272
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 綾子 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (50432878)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 香港 / カトリック / 営繕 / 教会堂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一の目的は、近代以降、社会及び教会組織の構造変化によって、カトリック教会堂の営繕の仕組みが変質したことを明らかにすることである。研究事例とする香港カトリック教会では、特に戦後、教会堂営繕に一般信徒の参加がみられ、近年、その体制は高度に組織化されてきた。 26年度は、香港にて現地調査を実施し、一般信徒参画の仕組みのひとつであるCatholic Building Professional Advisory Group(CaBPAG)を主な研究事例と定めた。その詳細な活動内容、設立の背景を明らかにするため、議事録等のアーカイブ調査、信徒、司祭など参加者へのインタビュー、図面資料等の収集をおこなった。教会史における背景を明らかにするため、霊性史の既往研究を収集、分析した。 あわせて、社会的・歴史的背景の分析をおこなうため、既往の社会学、歴史学、政治学研究を収集、分析をおこなった。 その結果、CaBPAGは、香港という固有の政治的・社会的文脈、教会全体における霊性の展開と信徒参画の拡大を受けて生まれたものであることを明らかにした。 この発見は、香港という地域的な教会にとって意義あるだけではなく、20世紀後半以降に全世界的に起きた教会の信徒の位置づけの変化を受けて生じたものである点で普遍的な意義がある。 以上の成果は、日本建築学会計画系論文集708号に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた現地調査、資料収集・分析などを順調におこない、また論文としてその成果を出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査における資料収集を継続しておこなう。図面等を政府機関などで収集、インタビュー実施、教区アーカイブでの非公刊資料調査をおこなう。 具体的な研究対象事例は、上記資料調査、次回現地調査を踏まえ、変更する可能性がある。 対象となりうる事例は既に多くの候補があるので、研究課題そのものに変更は問題はない。 宗教学、香港及び中国の社会学・政治学・歴史学の既往研究の収集・分析を続ける。
|
Causes of Carryover |
26年度は当該研究費での補助員雇用の必要性がなくなったため、謝金の支出がなかった。 これまでに収集した資料の整理・分析に多くの作業時間を費やし、新たな現地調査、一次資料の収集は最小限に抑えることとしたため、旅費、その他経費の支出が減ることとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画の実施に加え、計画より長い日程の現地調査を行う予定である。26年度に予定していた機器の購入を27年度におこなう予定である。
|