2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study to Assess Values of Building Activities by the Laity for the Catholic Church in Hong Kong
Project/Area Number |
26820272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 綾子 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50432878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教会堂 / カトリック / 信徒 / 霊性 / 営繕 / 香港 |
Outline of Annual Research Achievements |
香港で信徒参画を促進した要因を指摘した。①第二バチカン公会議において信徒のあり方が一新され、教会運営を含む「信徒使徒職」が推奨された。この公会議の精神は、1980年代以降、世界的に実践されるようになった。②香港人建設専門家が多く育成され、1970年代後半までに成熟した。彼らのなかには少なからぬカトリック信徒がいた。③ 教区が返還に備え、多数の教会堂建設事業を自立的に実施しなければならなくなった。 次に、1950年代以降、教会堂建設における信徒参画は、4つの段階で展開したことを明らかにした。①1950年代-1970年代前半:信徒の参加は設計・施工の請け負いに限られ、奉仕としての参画は非常に少なかった。② 1970年代後半-1990年代前半:教区典礼委員会聖職者が主導し、建設専門家信徒を教会建築設計に参画させる試みが始まった。しかし、信徒はあくまで聖職者に従属する立場に置かれた。他方、司教が、公会議の精神に沿った教区改革を主導した。このことも信徒参画を後押しした。③1995年-2005年:教区建築及び発展委員会が1995年に設立された。多数の建設専門家信徒が委員となり、信徒が教区の建設事業において主体的な役割を果たすようになった。彼らは教区の依頼を受け、事業計画、実施、監理においてその専門性を活用した。この時期、教区営繕における信徒の役割は確立されたものとなった。④2006年-2017年:信徒参画がパラダイムシフトをした。1980年代以降の世界的な霊性運動、香港では特に2000年代以降に信徒霊性運動が興隆したことに影響され、建設専門家信徒たちは、営繕の目的を、彼らの霊的成長に置くようになった。信徒は聖職者に従属する奉仕や使徒職のあり方を脱し、主体的に信仰を生きる存在へと変わっていったのである。
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