2014 Fiscal Year Research-status Report
宮廷女房日記にみる中世前期寝殿造の復原的研究―王朝文化の変容と空間演出を視点に―
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26820276
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
赤澤 真理 同志社女子大学, 生活科学部, 助教 (60509032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 寝殿造 / 宮廷女房日記 / 装束 / 絵巻 / 有職故実書 / 遊興 / 栄花物語 / 打出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、11世紀から13世紀頃における内裏・院御所・公家住宅を、宮廷女房日記を基礎史料に、古記録・指図・絵巻を照合し、行事の空間及び居住空間における使い方を復原し、寝殿造の展開を再構築することを目的とする。本年度は、初年度であることから、下記の2点について、集中的に取り組んだ。1.寝殿造研究の再検討 本研究の基礎となるこれまでの寝殿造研究の展開を整理し、平安京京都研究集会「平安時代貴族邸宅論」のシンポジウムにおいて報告した。考古学・歴史学・建築史学により推進されてきた平安時代貴族住宅研究の展開過程を整理し、改めて建築史側から建築の内部空間の使い方を分析する必要性を認識した。2.女房装束による打出の展開の解明 儀礼空間における寝殿造独特のしつらいの一つである女房装束による打出について、研究論文を執筆するために、史料調査を推進した。前年度に、打出が10世紀後半から11世紀に成立し、13世紀にかけて活発化することを明らかにした。これに加え、宮内庁書陵部蔵近世鷹司家旧蔵の装束関連の書を複写し、翻刻を進めた。さらに、打出について詳細な描写がある「補定駒競行幸絵巻」(東京国立博物館所蔵)の調査を推進した。今後は14世紀初頭制作「駒競行幸絵巻」(和泉市久保総美術館蔵)、主題とした物語である『栄花物語』や古記録『小右記』を合わせ、絵巻に描かれた打出の領域や装束の意匠を究明する。一部の成果は、国際服飾学会等で口頭報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にあげていた史料調査を推進することができ、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に調査した史料を総合し、本年度は寝殿造における装束の一つである打出について研究論文を執筆する。続いて、『弁内侍日記』『中務内侍』『たまきはる』等の宮廷女房日記の分析に着手する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた書籍等を購入しきれなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍を中心に使用を計画している。
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