2015 Fiscal Year Research-status Report
宮廷女房日記にみる中世前期寝殿造の復原的研究―王朝文化の変容と空間演出を視点に―
Project/Area Number |
26820276
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
赤澤 真理 同志社女子大学, 生活科学部, 助教 (60509032)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 寝殿造 / 女房装束 / 源氏物語 / 栄花物語 / 打出 / 室内装飾 / 境界 / 有職故実書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、女房装束の打出に関する有職故実書及び関連する中・近世における物語絵の調査・研究を中心に推進した。 (1)近世鷹司家に伝来する宮内庁書陵部蔵の打出及び押出、装束に関する書の翻刻を推進した。本史料に関しては、翻刻を公開する予定である。史料に掲載されている古記録を整理し、本研究課題の史料とする。 (2)前研究課題から継続している源氏物語の有職故実書について、国文学・服飾史の研究者と翻刻を推進し、研究紀要に投稿した。 (3)中近世物語絵の調査を、国内外で推進し、王朝物語絵に関する画像史料を収集した。米国ミネアポリス美術館、インディアナポリス美術館、クリーブランド美術館、根津美術館蔵(東京)、茶道資料館蔵(京都)、徳川美術館蔵(愛知)等において、調査・観覧を実施した。これらの画像史料により中近世における寝殿造像の実態や王朝文化の受容を検討する。 (4)人間文化研究機構国文学研究資料館による国際共同研究(境界をめぐる文学-知のプラットフォーム構築をめざして、研究代表者シラネ・ハルオ氏)において依頼があり、「日本中世における空間の境界-身分・性差から-」について報告した。古代中世における社会的な身分によって形成された境界に注目し、寝殿造空間において、位階や性差により空間がどのように区別されていたのかを報告した。今後は、先行研究を踏まえながら、中世前期における空間の境界がどのように変容するのかに着目することで、本研究課題につなげていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、中近世の物語絵を数多く調査する機会が得られた。また、依頼により、「境界」という新たな視点を得ることができた。これらを本研究課題に連動させていきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、宮廷女房日記に関わる史資料を精読する作業を推進したい。
|
Causes of Carryover |
本年度は、研究報告の依頼等により、当初の目的である宮廷女房日記の精読が推進できなかったため、書籍の購入について、当初よりも減額をして計上した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題による書籍を購入するとともに、次年度より所属先が変更となったため、研究推進上、必要となる備品を購入したい。
|
Research Products
(4 results)