2017 Fiscal Year Research-status Report
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26820279
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
大林 潤 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40372180)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 建築装飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度に引き続き、修理工事報告書を中心に資料の収集作業をおこない、データベースの作成を継続しておこなった。平成28年より、奈良県の国指定重要文化財建造物の対象物件の入力を進めており、本年度は報告書13冊、物件数21件、画像点数は507点の資料をデータベース化した。これにより、すでにデータベース化が終了した件数は38件となった。データ数の追加にともない、前年度に設定したデータの項目に不足があることが明らかとなり、項目の見直しを必要に応じておこなっている。 収集した38件の内容を概観すると、いずれの建築にも程度の大小は認められるものの塗装・彫刻・金具のすべてが使用されていることが多い。ただし、繰型に塗装をするケースは、すでに様式として行われているにすぎず、その建築独自の主題性をもっているわけではない。そのような観点で整理すると、今後は主題性や独自性のある装飾内容に注目して、その意義について追及していくことが望ましいのではないかと思われる。 このほか、研究者が業務でおこなっている法隆寺金堂の古材調査において、金堂内陣天井の彩色の目視観察による調査や、金堂裳階に取り付けられている獣型彫刻の判別などをおこなった。特に獣型彫刻の検討を進めるうちに、すでに刊行されている建築彫刻に関する文献などにおいても、これらが端的にまとめられているものが少なく、誤った情報が提示されているものが数多く存在することがわかった。本研究の目的のひとつでもある「現場で使える情報の整理」のための課題として新たな発見であった。 平成29年度は、学生アシスタント1名の協力を得た。また、研究者の私的な事情により宿泊をともなう現地調査がおこなえなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データベースの資料収集作業に学生アシスタントを採用したが、短期のため勤務時間が少なく、データベース入力作業が遅れている。 また、育児のため、宿泊をともなう現地調査がおこなえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、奈良県内の資料収集を継続しておこない、データベースを完成する。資料収集作業には学生アシスタントを採用する。 現地調査は、近畿圏内を中心として日帰り調査を数回行い、可能であれば宿泊をともなう調査も行う予定である。
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Causes of Carryover |
学生アシスタントが計画当初に予定していた時間数よりも短かった。 宿泊をともなう現地調査がおこなえなかった。 平成30年度は、学生アシスタントの勤務時間数を増加させ、可能であれば宿泊をともなう現地調査をおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)