Investigation of magnetic properties and crystal structure of Fe-based heusler films

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26820280
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 松浦 昌志 東北大学, 工学研究科, 助教 (00633942)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: Fe基合金 / 磁性材料 / 薄膜

Outline of Annual Research Achievements

本研究ではFe基の高保磁力材料探索のため，異方的な結晶構造を有するFe基磁性材料の探索を行った。本研究ではFe基ホイスラー合金に着目し，Fe基ホイスラー合金組成をベースとした薄膜を作製して結晶構造と磁気特性の関係を調べ，高保磁力化の指針を得ることを目的としている。具体的には以下内容を行った。(a)正方晶Fe系ホイスラー合金薄膜の作製，(b)結晶構造と磁気特性の調査，(c)添加元素が結晶構造と磁気特性に及ぼす影響調査。
MgO, STO, YSZ各単結晶基板上にFeGeNi, FeGa, FeGa-Cu, Fe-Ga-Al, Fe-Ga-Ni, Fe-Ga-N薄膜を作製し，その磁気特性と出現相を調べた。さらに熱処理による磁気特性変化も調べた。その結果，Fe-Cu-Ga薄膜では熱処理後に保磁力が向上し，500℃の熱処理によって約1 kOeの保磁力が発現することが分かった。このときの結晶構造変化をXRDで調べると，熱処理温度を上げるにつれ，立方晶型Fe2CuGa相が発現した。正方晶ではなかったものの，Fe2CuGa相が出現することで保磁力が向上することが分かった。またFe-Ga薄膜について，as-depo試料において二段の減磁曲線がみられ，高保磁力相の存在が示唆された。一方，熱処理温度が上昇するにつれてこの減磁曲線の二段化は消える傾向がみられた。結晶構造変化を調べると，熱処理前は半値幅の大きい単相のピークがみられたが，熱処理温度が上昇するにつれて規則度の異なる立方晶型Fe3Gaとみられる二相が出現した。これは二相への分離が進行すると歪の解放が生じ，保磁力も減少したものと考えられる。
以上の結果から，Fe-Ge-Ni，Fe-Ga，Fe-Ga-Cu，Fe-Ga-Al，Fe-Ga-Ni，Fe-Ga-Nの中で高保磁力が得られる可能性のある系としては，Fe-GaとFe-Ga-Cuと分かった。