2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26820285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20506258)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁性量子セルラ・オートマトン / 磁性論理演算素子 / 磁気力顕微鏡法 / 磁性マニピュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度中,三次元磁性量子セルラ・オートマトン(3D-MQCA)を実証する上で必要となる基礎的技術を確立する事を目的に研究を実施した.具体的内容は4つに大別することができる.以下にその詳細を示す. (1)磁気力顕微鏡法(MFM)を応用した,2層の磁性薄膜からなる微小磁性体の各磁性層の磁化状態検出手法を開発した.本手法は3D-MQCAに対する情報入力の可否ならびに3D-MQCAの演算結果の検証には必要不可欠なものである. (2)続いて,2層の磁性薄膜を有する微小磁性体に対する,MFMを用いた情報入力手法を確立した.磁気力探針を情報入力する対象の磁性対近傍で適切に走査することで,任意のバイナリ状態を書き込む事ができた.本成果により,実際に作製した3D-MQCA素子へ情報入力を行うことが可能となり,3D-MQCA実証に必要な準備が整った. (3)上記内容と平行し,マイクロマグネティクスシミュレーションによるNAND/NOR論理演算が可能な3D-MQCA形状を決定した.2つの磁性多層膜からなる磁性ドットを用い,NAND/NOR論理演算を行う際に最適な3D-MQCA形状が明らかとなった. (4)さらに3D-MQCAと同一のチップ上に埋め込んだクロック磁場発生機構ならびに周辺回路の開発を行い,簡単な素子にてその動作確認を行った. 以上より,平成26年度の目的である3D-MQCAの実証に必要な基礎的技術の確立が達成できた.特に,(4)に示したクロック磁場発生機構は,申請時には平成27年度に実施予定としていたものであり,研究は概ね順調に進んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定した,磁性多層膜を有する磁性ドットの情報入出力手法の開発,マイクロマグネティクスシミュレーションによるNAND/NOR-3D-MQCAの素子設計は予定通り完了している.これに加え,当初は平成27年度に予定していたロック磁場発生機構の開発も完了した.このため,研究は十分に順調である.ただし現在,磁性薄膜を有する磁性ドットに対してのみ情報入出力は,2層の磁性層を有するもののみ実証済である.3D-MQCAの研究には,さらに多層の磁性層を有する磁性ドットへも情報入力できることが好ましいため,おおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,研究計画に基づき概ね順調に進展している.また,研究の一部は,年度を前倒しして実施することができた.このため,当初の研究計画に加え,素子の演算に必要な外部磁場強度の範囲を増大させる研究を追加で行う予定である.
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した,磁性多層膜を有する磁性ドットに対する,磁気力顕微鏡法を応用した情報入出力手法の開発において,ノイズ低減のための新たな手法を追加することで当初予定よりも低い金額で実現することができた.一方で,前倒しで実施したクロック磁場発生機構の試作において,実用化に即したものを作成する場合,さななる周辺装置の必要性が明らかとなった.このため,897,733円を平成27年度に繰り越している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
交付申請書に記載した研究計画に置いて,平成27年度に予定していた三次元磁性セルラ・オートマトンの実用化を視野に入れたクロック磁場発生機構の開発計画をさらに拡張する.具体的には,生じた次年度使用額により複数の磁場印加方向を有するパルス磁場発生装置を構築する.これは,実用化する上で必要不可欠な,高機能回路へ拡張可能な三次元磁性セルラ・オートマトンの動作検証実験に無くてはならないものである.
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