2014 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム損傷モニタリングによる接合・表面加工のプロセスコントロール
Project/Area Number |
26820302
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 海太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30554381)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アコースティック・エミッション法 / プロセスモニタリング / GPGPU |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアコースティック・エミッション (AE) 法による材料加工プロセスのリアルタイムモニタリング、およびその結果のフィードバックによるプロセスコントロールの実現を目標としている。このとき、材料加工プロセスはAE計測にとって非常に高ノイズの環境であることが多いため、市販の装置では計測ができない。一方、従来開発を進めてきた耐ノイズ性に優れた独自開発の Continuous Wave Memory (CWM) システムでは計測は可能なものの、取り扱う波形データが膨大でありリアルタイムに処理できない点が課題となっていた。 平成二十六年度は、多並列演算を得意とし現行のパソコン用 CPU の数倍~数十倍の能力を発揮できる GPGPU (General-Purpose computing on Graphics Processing Unit) を利用した AE 波形処理の高速化を実現した。この際、CWM 内部での一連の AE 波形処理のうちリアルタイム性のボトルネックとなっている部分が丁度 GPU 処理に適していることが分かり、従来 CPU 比で約 25 倍のスループットを得ることができた。これは一般的な 10 MHz サンプリングの AE 波形ならば約 100 ch に相当し、十分な能力であると言える。 この成果を用い、大気圧プラズマ溶射 (APS)、サスペンションプラズマ溶射 (SPS)、摩擦攪拌接合 (FSW) などの例題において、高いノイズレベルをリアルタイムの波形処理で十分に低減し、微小欠陥の発生にともなう AE 事象を検出できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」では、AE 計測に際して煩雑なパラメータ指定を廃止して波形解析を自動化し、リアルタイムにノイズを除去して AE 事象を検出できる計測装置を開発するものと記した。また、「平成26年度の研究実施計画」では具体的に「AE 波形のノイズフィルタと AE 事象検出の自動(パラメータフリー)化」「GPGPU を用いた多並列演算による AE 連続波形処理のリアルタイム化」を行うものと記した。 この目標に対し、本報告書の「研究実績の概要」に記した通り、具体目標のうち後者の AE 連続波形処理のリアルタイム化は十分に達成できた。また前者についても AE 事象検出の自動化は、センサのダイナミックレンジ全体に数 dB 間隔の多段階しきい値を設定する方法でパラメータフリーで実行可能になったほか、ノイズフィルタも連続波形の時間-周波数特性解析のビジュアルな結果から簡単に決定できるため、ほぼ目的を達成できた。また、開発中の装置を利用して実際のプロセスモニタリングも開始している。 これらの状況から、研究はおおむね順調に進展しているものと結論付けられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
溶射や接合について、リアルタイムモニタリングの結果を装置にフィードバックしてプロセスを最適化する機構を開発し、その効果を評価する。たとえば、サスペンションプラズマ溶射においては、これまでの AE プロセスモニタリングの結果から、成膜中に最適な入熱量が変化することが判明しつつあるが、AE 計測の結果から皮膜内の縦および横方向のき裂の発生状況を把握しつつ、溶射距離やトーチ移動速度などの溶射条件を調整する方法を採る。
|
Research Products
(4 results)