2015 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム損傷モニタリングによる接合・表面加工のプロセスコントロール
Project/Area Number |
26820302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 海太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30554381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アコースティック・エミッション法 / 非破壊評価 / 波形解析 / 摩擦攪拌接合 / 懸濁液プラズマ溶射 |
Outline of Annual Research Achievements |
摩擦攪拌接合のプロセスモニタリング 接合部を取り囲むようにマグネシウムの薄板試験片上に4~6個のAEセンサを設置し、接合開始前から終了後までAEを検出した。前項までに述べた波形処理の改善を行ったCWMを使用したため、ノイズ除去とAE事象抽出は自動化できた。さらに位置標定を高精度化したことにより、検出されたAE事象をその発生時刻と発生位置の標定結果によって要因を分類することができた。鋼材試験片でも同様の試験を行ったところ、マルテンサイト変態の有無および量に関する情報が得られた。これらの結果は、試験片ごとに煩雑な浸透探傷試験やX線探傷試験を行わなくても接合欠陥や変態がリアルタイムに検出できることを示したものと言える。
懸濁液プラズマ溶射プロセスのモニタリングおよびコントロール 溶射試験片の治具裏面にAEセンサを取り付け、表面を100回溶射したときのAEを計測した。溶射は約10秒間隔で短時間のみ行われ、このときだけ試料は加熱され、残りの時間は自然放熱により冷却されることを繰り返すものである。すると、縦割れのみが観察された試料ではAEが加熱中のみに集中して発生していたのに対し、縦割れと横割れの両方が観察された試料ではAEが加熱中と冷却中の両方で発生していた。また、入熱量が不足している条件では、き裂は縦・横とも発生しなかったが、入熱量を高めていくと先に縦割れが発生し始め、次第にその密度が高まり、さらに高めると横割れが発生するという関係も実験的に確かめられた。ただし、横割れが発生し始める入熱量は皮膜の厚さなどにも依存し一定ではないものと推定される。このことから、縦割れ密度を最大化し、横割れの起こらないトップコートを成膜するためには、このAEのリアルタイム検出結果に基づいて溶射中に溶射距離やトーチ速度をコントロールすることが有効であることが示された。
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