2014 Fiscal Year Research-status Report
UBMスパッタ法によるイオンアシスト効果を利用した金属ガラス薄膜の膜質制御
Project/Area Number |
26820309
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小畠 淳平 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00566424)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 金属ガラス / アンバランスドマグネトロンスパッタ / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属ガラス薄膜の形成に対して、アンバランスドマグネトロン(UBM)スパッタ法により、従来の真空プロセスにはないイオンアシスト効果というパラメーターを導入し、金属ガラス薄膜の新たな膜質制御技術を確立するものである。イオンアシスト効果は、基板に印加するバイアス電圧を変えることにより制御することができる。本年度では、組成がTi41.5Zr2.5Hf5Cu42.5Ni7.5Si1(at%)のターゲットを用いて、成膜圧力を0.6Pa(Ar)一定とし、基板バイアス電圧を0~-300Vと変えて膜を形成し、各膜の構造解析を行った。X線回析の結果、全ての膜は非晶質構造特有の単一でブロードなピークを示した。膜組成を電子線マイクロアナライザによるZAF法により解析した結果、バイアス電圧の増加に伴いAr含有量が大きく増加していることが分かった。また、示差走査熱量分析から、バイアス電圧を印加していない0Vの膜では明瞭な過冷却液体領域は確認できなかったが、バイアス電圧を印加した膜では明瞭なガラス転移と過冷却液体領域が確認できた。さらに、各膜の表面および断面状態を走査型電子顕微鏡で観察した結果、バイアス電圧の増加に伴い、膜が平滑かつ緻密化していた。これらの実験結果は、金属ガラス薄膜の膜質制御に対してUBMスパッタ法によるイオンアシスト効果が有効であることを示している。今後は、計画に従い成膜条件が膜の諸特性に与える影響を調査する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオンアシスト効果が金属ガラス薄膜の膜質を制御できる成膜パラメータであることを見出せた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、成膜条件を変えた金属ガラス薄膜の形成と膜構造の解析を行いつつ、膜の機械的・化学的特性に関する実験を行う。具体的には、超微小押し込み硬さ試験機による膜の硬さとヤング率の測定や電気化学測定による膜の耐食性を調査する。
|
Remarks |
所属研究機関による研究タイトルの紹介
|
Research Products
(4 results)