2014 Fiscal Year Research-status Report
界面微細加工組織制御を応用したプラスチックと金属の異材摩擦重ね接合と接合機構解明
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26820326
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永塚 公彬 大阪大学, 接合科学研究所, 特任助教(常勤) (70720902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 界面微細加工組織制御 / 表面改質 / 摩擦重ね接合 / 樹脂 / 金属 / 異材接合 / 炭素繊維強化熱可塑性樹脂 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.各種アルミニウム合金(A1050、A3004、A5052、A5083)とポリアミド6(PA6)との摩擦重ね接合(FLJ)を実施し、合金中に含まれる添加元素であるマグネシウム量が接合性に及ぼす影響を検討した。合金中のマグネシウム添加量の増加に伴ってアルミニウム合金/PA6継手の接合強度が増加することを継手の引張せん断試験およびピール試験より示し、接合界面の微細構造解析によりそのメカニズムを明らかにした。 2.軽量で比強度に優れ、射出成形による大量生産が可能である炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)およびガラス繊維強化熱可塑性樹脂(GFRTP)と、アルミニウム合金、炭素鋼およびステンレス鋼などの種々の金属とのFLJを実施し、接合条件が接合性に及ぼす影響を明らかにした。 3.レーザ表面微細加工、ショットブラスト、サンドブラスト、エメリー紙による研磨、化学処理等の各種表面処理を施すことで、表面状態を変化させたアルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、炭素鋼およびステンレス鋼とPA6およびCFRTP等の樹脂材の異材接合を行い、高い接合強度を示す接合界面構造を検討し理想的な異材接合界面構造モデルの検討を行った。実施した表面処理の中では、サンドブラスト、研磨および化学処理を施した材料を用いた場合、接合強度が著しく増加し、これらの表面処理の有効性を示した。なお、最適な接合条件においては、CFRTPが母材破断を呈する程の高い接合強度を示す継手が得られた。また、これらの知見を元に、FLJによる金属と樹脂、GFRTPおよびCFRTPの接合機構を検討した。 4.接合中の温度履歴を、熱電対を直接接合界面近傍に挿入することにより計測し、これらを元に有限要素法を用いて熱伝導解析を行い、実際の温度履歴と良く一致する数値解析モデルが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおりにおおむね順調に進展している。 摩擦重ね接合の接合パラメータおよび金属中の添加元素が接合特性に及ぼす影響については、平成26年度予定分のアルミニウム合金に加えて炭素鋼、ステンレス鋼、マグネシウム合金およびチタン合金などの種々の金属についても実施し、金属材料表面状態と接合性について体系的な知見が得られた。これらの知見を元に、界面の微細組織制御を施すことで、化学的な結合力に起因する接合強度の向上を達成した。しかし、凹凸の形成による機械的な接合力増加を目的としたレーザ処理では、接合強度の大幅な増加は認められなかったため、今後はより表面を粗くする条件や手法の検討が課題となっている。また、材料の表面状態と接合強度の相関より、FLJによる金属と樹脂、GFRTPおよびCFRTPの接合機構を検討した。さらに、実現象と良く一致する熱伝導・応力解析モデルが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度実施内容より、FLJによる金属と樹脂、GFRTPおよびCFRTPの接合メカニズムが明らかになりつつあり、材料表面の化学状態を変化させることで接合強度を著しく向上させることが可能であることを示した。そこで更に適した化学状態を創り出す表面処理法の検討を行う。 金属表面に凹凸を形成することによって接合強度を向上させる方法としては、実施した表面処理の中ではサンドブラストおよび湿式研磨のみ有効であり、その他の処理法では表面の濡れ性の低下が生じ、接合強度への寄与は認められなかった。そこで今後は、表面に凹凸を形成すると同時に、濡れ性が向上すると考えられるアルマイト処理等の処理法の適用を検討する。 また、26年度に作成した解析モデルを用い、種々の材料へのモデルの適用を行い、任意の材料、任意の継手に対応したFLJの解析モデルの構築を行う。
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Research Products
(12 results)