2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26820340
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐伯 大輔 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (70633832)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膜分離 / 逆浸透膜 / 生体模倣 / リポソーム / 脂質二分子膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は下記の項目について検討した。 III. 物理的強度の向上 前年度に確立した手法を用い、物理的強度に優れる有機多孔体上への脂質二分子膜の展開について検討した。アルキル鎖を導入した有機多孔膜を支持体として、リポソームを接触させたところ、支持体の孔径、リポソームの粒径を制御することで、脂質二分子膜を形成できることがわかった。また、脂質二分子膜の形成には、支持体上に導入されているアルキル鎖の密度も重要であることがわかった。 IV. 膜性能・膜構造の評価及び最適化 Gramicidin Aを導入した固定化脂質二分子膜について、膜性能におけるGramicidin Aの導入量の最適化、及び水チャネルとしての構造の評価を行った。Gramicidin A濃度については、脂質分子に対して3 mol%以下の低濃度では膜性能は発現せず、4 mol%以上で膜性能が発現し、5 mol%で市販膜より2桁高い透水性を示し、それ以上の濃度では膜性能は低下した。円偏光二色性スペクトルにて脂質二分子膜内でのGramicidin Aの構造を評価したところ、5 mol%ではチャネル構造に特有のスペクトルを確認することができた。以上の結果より、Gramicidin Aの導入量には最適値が存在することがわかった。さらに、Gramicidin A以外のチャネル物質の探索も行ったところ、Amphotericin Bも同様に水チャネルとして機能することがわかった。 以上、本研究の成果により、生体膜の構成成分である脂質二分子膜と水分子を透過する生体由来の水チャネルを用いることで、既存の分離膜より高い透水性を有する分離膜が作製できることがわかった。生体模倣的アプローチが分離膜の性能向上に有用であることを示す、重要な知見が得られた。
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