2014 Fiscal Year Research-status Report
有機テンプレートを用いない高シリカケージ型大空間ゼオライトの革新的合成手法の開拓
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26820347
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 佳大 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究員 (90635781)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゼオライト / 種結晶添加法 / テンプレートフリー |
Outline of Annual Research Achievements |
高シリカケージ型大空間ゼオライトの一つであるCHA型ゼオライトを種結晶添加法により有機テンプレートフリーで合成することを目標とする。これを達成するため、平成26年度は、種結晶および種結晶を添加するためのアルミノシリケート反応混合物の調製と条件探索を実施した。CHA型ゼオライトの種結晶は、有機テンプレートをNa型アルミノシリケート反応混合物に添加し、高温高圧環境下において水熱処理を施すことによって合成を行った。得られた生成物のキャラクタリゼーションを行った結果、生成物はCHA型骨格構造に由来するX線回折パターンを示し、生成物の骨格内シリコンアルミニウム比は約10-12の範囲であることがわかった。今後は、得られたCHA型ゼオライトを種結晶として利用する予定である。一方で、CHA型種結晶を添加するためのアルミノシリケート反応混合物を調製する必要があるため、反応混合物の組成条件探索、およびそこから得られるゼオライトの合成を並行して行った。本研究の目的および研究計画で記載したように、種結晶ゼオライトと様々な組成で調製したアルミノシリケート反応混合物から結晶化するゼオライトの構造類似性に着目した新規コンセプトに基づいて、種結晶添加法を実施する予定である。このことから、CHA型ゼオライト(種結晶)とビルディングユニットレベルでの類似構造を有するゼオライトは、第一候補としてはOFF型ゼオライトであり、このOFF型ゼオライトを合成するための組成および反応条件探索を行った。OFF型ゼオライトはNa型ではなく、有機テンプレートを含まないNa,K型またはK型アルミノシリケート反応混合物を高温高圧環境下で水熱処理を施すことで、合成できることがわかった。そして、OFF型ゼオライトが結晶化する反応混合物の組成条件の最適化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、種結晶添加法を用いたCHA型ゼオライトのテンプレートフリー合成を実施するため、CHA型種結晶の合成および種結晶を添加するアルミノシリケート反応混合物組成条件の探索に大幅な研究時間を費やした。まだ、CHA型ゼオライトの種結晶添加法はまだ実施できていないため(次年度に実施予定)、研究進捗状況に関しては、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度得られた種結晶と反応混合物組成を用いて、CHA型ゼオライトの有機テンプレートフリー合成を検討する。CHA型の結晶化に成功した後、CHA型ゼオライトを再現性良く結晶化させるための合成条件(反応温度や時間等)の最適化を行う。得られた良好なCHA型ゼオライトに対してはキャラクタリゼーションを行い、産業分野への応用も考慮してCO2をはじめ様々なガス種の吸着性能評価も実施する。このとき、比較としてCHA型以外の有用なゼオライトに関しても吸着性能評価を実施する。並行して、キャラクタリゼーションの結果をもとに、反応混合物中に存在するビルディングユニットや前駆体の役割と結晶化過程における種結晶の役割を推察し、結晶化メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
次年度での消耗品購入に割り当てるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度での研究遂行に必要な試薬の購入に使用する。
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