2014 Fiscal Year Research-status Report
硫化物光触媒を基礎とした光触媒および光電極システムによるソーラー水分解
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26820354
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岩瀬 顕秀 東京理科大学, 理学部, 助教 (40632451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光触媒 / 硫化物 / 水分解 / 人工光合成 / 還元型酸化グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,これまで安定性の面から水分解に不利とされてきた硫化物光触媒を用い,計画どおり(1)硫化物光触媒電極の高効率化および(2)硫化物光触媒の二段階励起型システムへの応用展開を目的として研究を行なった。その結果,これらの二つの目的に対し,下記のような進展が見られた。 (1)硫化物光触媒電極の高効率化 様々なp型硫化物光触媒を電極化し,還元型酸化グラフェンの添加効果したところ,可視光照射下でのカソード光電流の向上が確認された。特に,CuGaS2およびCu2ZnGeS4光電極において大きな添加効果およびカソード光電流が得られた。気相成分を定量したところ,流れた光電流に見合う水素の生成が確認された(ファラデー効率はほぼ100%)。このことから,向上した光電流は水の還元によるものであることが確かめられた。さらに,光アノードと組み合わせることにより,可視光照射下での光電気化学的水分解を達成した。 (2)硫化物光触媒の二段階励起型システムへの応用展開 様々な硫化物光触媒を水素生成光触媒,還元型酸化グラフェンーTiO2コンポジットを酸素生成光触媒としたZスキームシステムの構築を試みたところ,p型硫化物を水素生成光触媒として用いたときに,水素および酸素が化学量論比で得られた。特に,CuGaS2を水素生成光触媒として用いたときに高い活性が得られた。 以上のように,硫化物を用いた光電気化学的可視光水分解の高性能化,および硫化物光触媒を用いたZスキーム型水分解システムの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に掲げた(1)硫化物光触媒電極の高効率化および(2)硫化物光触媒の二段階励起型システムへの応用展開におけるH26年度の目標をどちらも達成した。さらに,(1)においてはH27年度の目標の一部であった気体の定量および光アノードとの組み合わせによる可視光水分解も達成した。 以上のことから,当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの目標を前進させ(1)硫化物光触媒電極を用いた水分解システムの高効率化および(2)硫化物光触媒の二段階励起型システムへの高効率化を軸に研究を行う。 (1)硫化物光触媒電極を用いた水分解システムの高効率化では,硫化物光触媒の調製方法および還元型酸化グラフェンの添加方法を改善し,高効率化を試みる。具体的には,欠陥が少なく微結晶の硫化物光触媒を得るために,手作りの原料を用いて目的の硫化物光触媒の合成を行なう。 (2)硫化物光触媒の二段階励起型システムへの高効率化では,酸素生成光触媒への助触媒担持を行ない,還元型酸化グラフェンへの電子注入速度および水の酸化速度の向上を試みる。また,本に段階励起型システムで駆動する硫化物光触媒のさらなる探索も合わせて行なう。
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Causes of Carryover |
消耗品の支出が予定よりも抑えられたため,差異が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入を予定している。
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