2014 Fiscal Year Research-status Report
PEG化タンパク質位置異性体の変性構造を固液界面で特異認識する精密分離プロセス
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26820363
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉本 則子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40432736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PEG化タンパク質 / イオン交換クロマトグラフィー / 異性体分離 / 変性 / リフォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の生体内安定性を高める方法としてポリエチレングリコール(PEG)で修飾する方法があるが、修飾反応の制御は難しくPEG修飾数の異なる異性体や修飾位置の異なる複数のPEG化タンパク質異性体が生成する場合がある。 これら異性体の表面電荷の差が最も大きくなる被修飾タンパク質の等電点近傍で、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)を用いて分離を行ったところ、等電点近傍での異性体の分離は修飾されたアミノ酸のpKaに依存し、高いpKaを持つアミノ基が修飾されたものほど早く溶出される結果となった。一方、等電点から離れ異性体間で表面電荷の差の無いpH条件でも、異性体の溶出順は変わら分離度は減少するものの分離は可能であった。アミノ酸のpKaは溶媒露出度および周囲のアミノ酸との相互作用により決定されており、高いpKaを持つアミノ基は修飾PEG試薬と反応しやすい環境にあると同時にイオン交換基と相互作用しやすく、これらが修飾されるとタンパク質のイオン交換基との相互作用部位も変化する。この為、イオン交換基はタンパク質のPEG化タンパク質の表面電荷だけではなく立体構造を認識して異性体を分離していると考えられる。また修飾数の多い異性体の場合、電荷密度が低く中性条件ではpoly-PEG化タンパク質も含めた分離ができないが、酸性条件でmono、di、poly-PEG化タンパク質の分離操作を数分以内で行う方法を確立した。 PEG化タンパク質の変性挙動の解析を行った結果、変性温度は被修飾タンパク質とほぼ変わらなかった。しかしPEG分子量が数kDa程度の場合、凝集が促進される数10kDaのものは凝集が抑制されることが分かり、変性構造を安定に維持したまま分離が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異性体分離を行うために粒子径が小さく理論段数の高い微粒子型充填剤の場合、分離性能は高いものの一回あたりの溶出時間が長く実験の進行はやや遅れた結果となった。 PEG化タンパク質とタンパク質の変性挙動の解析については当初の予定どおりおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
分離性能は劣るものの膜型カラムを用いPEG化タンパク質異性体の修飾位置の簡便な同定法および複数の異性体を数分で分析する手法を確立した。 PEG修飾数の分離には膜型カラムで高速分離を行い、構造解析には高分解能のカラムを用いることで研究の加速をはかる。
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Research Products
(5 results)