2014 Fiscal Year Research-status Report
印刷型ウェアラブルバイオ燃料電池の開発とマルチインピーダンス解析
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26820364
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
四反田 功 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70434024)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウェアラブル / バイオ燃料電池 / アレイ / 乳酸 / 尿糖 / 自己駆動型センサ / 紙基板 / スクリーン印刷 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオ燃料電池とは,酵素を電極触媒に利用し,糖やアルコールさらには有機物廃液などのバイオマス資源を燃料とし直接発電する発電デバイスである.酵素反応は反応物に選択性があるため,他の燃料電池と比較して燃料のクロスオーバーといった問題は少ない.また,シンプルな構造で,室温での作動が可能である,安全性が高いといった利点がある.酵素は工業的に生産可能であり,資源という観点からも環境に優しい.携帯電子機器の電源,生体内埋め込み型医療デバイス用電源,ナノスケール機械のバイオ分子電池といった次世代型電源として,情報,通信,環境,医療といった分野での活躍が期待される. 本研究では,紙および転写シートを利用した印刷型ウェアラブルバイオ燃料電池の開発を行ってきた.燃料としては,発汗によって体外に放出される乳酸や尿糖を利用することを想定している.まず出力向上のために新たにMgO微粒子を鋳型とした多孔質炭素を用いた階層構造を有する多孔質炭素電極の作製法について検討したところ,MgOを用いた多孔質炭素電極によってバイオ燃料電池の大幅な出力向上がみられた. 乳酸を燃料とする紙基板バイオ燃料電池について検討したところ,乳酸濃度に比例した出力が得られることがわかった. 紙基板型酵素バイオ燃料電池アレイを開発し,さらなる高出力化を目指した.おむつに搭載して自己駆動しながら尿糖をセンシング可能なアレイについては,起電力2.65 V,最高出力347 uWが得られた. 長時間安定した電力を得るために,紙を用いて電解液を連続的に供給する方法について検討を行った.また,電極面積を大きくし,さらに直列・並列に4つずつ電極を配置したバイオ燃料電池アレイ(大型バイオ燃料電池アレイ)を作製した.これにより,起電力2.5 V,出力が1 mWを実現できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である印刷型乳酸バイオ燃料電池を開発できただけではなく,尿糖やその他の糖分を燃料とする高出力なバイオ燃料電池アレイを実現できた.本バイオ燃料電池アレイは,LEDやブザーなどによって自己駆動型センシング可能なだけの出力を有する.また,無線伝送によるデータの送信も可能な出力となっている.次年度,本アレイをさらに改良することで新たな自己駆動型乳酸バイオセンシングシステムが構築できることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
転写シートを用いたバイオ燃料電池の作製を行う.転写シート上にレジスト,炭素リード,多孔質炭素層,接着層と印刷した後に,皮膚に転写する. 皮膚と接触する箇所においては,生体親和性のあるキトサンなどをさらにコーティングすることで酵素やメディエーターとの直接接触を防ぐ.さらに,in-situインピーダンス測定によって電池特性について解析する.申請者らがこれまでに開発したシステムを用いて,電池全体,アノードおよびカソードの同時in-situインピーダンス測定を行う.測定したインピーダンススペクトルを元に,伝送線モデル(等価回路)を用いて,発電しながらセル抵抗,アノードおよびカソードの電荷移動抵抗,二重層容量などについて評価し,電池構成,劣化挙動を評価する.この結果をフィードバックすることで,さらなる特性向上を目指す.
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Causes of Carryover |
当該年度は,バイオ燃料電池アレイの高出力化を行い,ウェアラブル乳酸電池アレイの開発を行っているが,ウェアラブル化するにアレイの電極構造のシミュレーションによる最適化を行う必要が生じた.このため当初予定していた実験の一部の年度内完了が困難となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションが終了次第,翌年度分として請求した助成金と合わせてウェアラブル乳酸電池の印刷用版の作製を行う.
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Research Products
(14 results)