2014 Fiscal Year Research-status Report
惑星大気再突入体の通信ブラックアウト評価に関する研究
Project/Area Number |
26820366
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 裕介 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40611132)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 惑星大気再突入 / 空力加熱 / 通信ブラックアウト / 熱化学的非平衡流 / プラズマ中の電磁波伝播 / 数値解析的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
大気再突入時において、プラズマに包まれた宇宙機が、地上局やデータ中継衛星との通信途絶現象(通信ブラックアウト)に陥ることは大きな問題である。その一方で、再突入機近傍のプラズマ諸量分布や電磁波挙動の正確な予測が難しく、通信ブラックアウト低減に繋がる知見の探索が困難な状況である。ここでは再突入近傍のプラズマ流・電磁波分布を明らかにするための数値解析パッケージコードを開発するとともに、それを利用して通信ブラックアウトの低減化を図るための知見を見出すことを目的とする。 本年度における計画は、突入機近傍のプラズマ流・電磁波挙動を解析するためのパッケージコード開発を行うことと、過去の実飛行試験によって取得された通信ブラックアウトやプラズマ減衰履歴と解析結果の比較を行うことで本解析モデルの検証を実施することとした。 再突入機周りのプラズマ気流諸量と電磁波挙動を予測する数値解析モデルの開発を進めた。対象とする宇宙機が3次元的な形状、あるいは複雑な形状であっても柔軟に対応できるようなソルバーの開発方針とした。プラズマ流解析に関しては、ここではJAXAにおいて開発が進められている非構造格子対応・圧縮性流体解析ソルバーFaSTARをベースにし、これに実在気体効果を組み込むことで再突入環境の再現が可能になったRG-FaSTARを開発した。現在RG-FaSTARの性能評価や適用範囲探索を進めている。電磁波解析に関しては、FD2TD法を用いた電磁波ソルバーを開発した。これは比較的に低計算コストであるとともに、対象が複雑形状であっても取り回しが容易である。また、両ソルバーのデータ変換ツールを作成しパッケージとした。 本課題において開発した解析モデルの検証としては、実飛行試験(NASA RAM-CやESA ARD)による通信電波の減衰ゲイン履歴や電子数密度分布などの計測データと解析結果の比較を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な計算機環境によって、本年度の課題であったプラズマ流・電磁波解析パッケージコードの開発と検証がほぼ予定通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の計画としては次の2つである。(1)前年度(平成26年度)の研究において開発されたプラズマ流・電磁波解析コードに対してより精緻な検証を行うこと;(2)通信ブラックアウト低減化に向けた知見を獲得すること。計画1の解析モデルの検証としては,アーク加熱風洞やICP風洞などのプラズマ風洞を利用して、プラズマ気流中における電磁波の通信特性の取得を行う。さらに前年度において開発した解析コードを用いて風洞内部の環境を再現し、計測データと解析結果との比較を実行する。必要であれば前年度に行った解析モデル開発に立ち返り、その開発と検証を継続する。用いるプラズマ風洞としては、九州大学20kWアーク加熱風洞、JAXA 10kW ICP風洞などとする。また計画2では、再突入機の通信ブラックアウト低減あるいは通信可能性増大を目標に再突入機形状や飛行特性の指針を見出す。本解析コードを用いて、様々な形状特性や再突入軌道特性もつ飛翔体に対してパラメトリック的に電磁波挙動を調べ上げ、通信ブラックアウト低減に繋がる知見を見出す。
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Causes of Carryover |
本年度の研究を進めるにあたって、当初予想していたよりも十分な計算機環境を利用することができたため、その計算機使用料の差額分を来年度の計算機使用料として利用することを目的に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における計算機使用料の一部として使用する。
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Research Products
(5 results)