2014 Fiscal Year Research-status Report
感圧塗料を用いたマイクロ秒オーダーで変動する非定常圧力場の定量時系列計測法の確立
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26820368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼田 大樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20551534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / 衝撃波 / 非定常 / バリスティックレンジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、感圧塗料計測技術と高速度カメラ技術を組み合わせ、衝撃波に代表される音速を超える速度で伝播する高速非定常波動現象を、マイクロ秒間隔という極めて速いオーダーで時系列的かつ定量的に面計測可能とする新たな可視化計測法の確立を目指すものである。本技術の実現及び確立に向け、感圧塗料の高速度撮影計測で課題となる励起光源の発光強度不安定性を、感圧塗料の2色化 (複合感圧塗料)技術により解消する。最終的には、超音速で伝播する高速非定常現象が誘起する非定常圧力場を時系列的かつ定量的に可視化計測することで本技術の有用性を実証し、従来までの影写真法などの定性的な光学可視化手法に代わる新たな定量時系列非定常計測手法としての提案を行うことを目的とする。 本目的の実現に向け、平成26年度においては、バリスティックレンジを用いて射出される超音速飛行体から生じる衝撃波が物体上に形成する非定常圧力場の感圧塗料計測を実施し、研究目的を実現するうえでの課題点抽出を行った。具体的には、時間応答性を大幅に改善した超高速応答型感圧塗料を用い、上述した非定常圧力場に起因する非定常圧力変動を高速度カメラを用いて光学的に面計測した。また、非定常圧力センサによる計測を同時に実施し、感圧塗料計測結果と非定常圧力センサ計測結果の双方を比較し、圧力波計測に対する感圧塗料計測の有用性の実証試験も併せて行った。 結果として、観測面上を超音速で伝播する非定常圧力波を面的および時系列的に捉えることに成功し、感圧塗料計測から想定される圧力波の伝播過程は非定常圧力センサの計測結果と定性的に一致することを示した。また、定量計測実現に向けた基礎データの取得にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、研究目的の達成に向け、バリスティックレンジを用いて射出される超音速飛行体から生じる衝撃波が物体上に形成する非定常圧力場の感圧塗料計測を実施し、研究目的を実現するうえでの課題点抽出を実施している。結果として、観測面上を超音速で伝播する非定常圧力波を面的および時系列的に捉えることに成功し、感圧塗料計測から想定される圧力波の伝播過程が非定常圧力センサによる計測結果と定性的に一致することを示し、かつ定量計測実現に向けた基礎データの取得にも成功している。 本年度は、上述したバリスティックレンジ実験について、実施のための体制づくりに若干時間を要したため、課題点抽出に向けた実験の実施時期が想定よりも数か月ほど遅れた。そのため、実験による課題点の抽出を行ったうえで実施する予定であった超高速応答型感圧塗料の改良について若干の遅延が生じている。しかしながら、バリスティックレンジ実験では十分な課題点の抽出と研究目的達成のための基礎データの取得に成功しており、かつ想定していたタイムスケジュールからの遅延は平成27年度に十分挽回可能な範囲であるため、研究達成度としては順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施したバリスティックレンジを用いた非定常圧力場の可視化実験において、超高速応答型感圧塗料と可視化光学系、そしてデータ処理に関する課題点を概ね明らかにすることが出来た。平成27年度においては、これらそれぞれについての研究開発を進める。 感圧塗料については、色素・溶媒等の変更により、高速非定常現象に適用するうえで必要となる特性を持つ塗料の開発を引き続き進める。データ処理については、定量計測を行う上で必要となるリファレンス画像の選択アルゴリズムをより妥当なものに改良し、かつ取得画像のノイズ低減も進めることにより、精度向上を進める。可視化光学系については、特にバリスティックレンジ実験を念頭に入れ、平成26年度に用いた可視化光学系に改良を加える予定である。
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Research Products
(1 results)