2015 Fiscal Year Research-status Report
劣駆動姿勢制御の実システムへの積極的適用に関する研究
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26820372
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉村 康広 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (00725624)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スラスタ / 最適化 / フォールトトレラント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人工衛星の劣駆動姿勢制御を積極的に実システムへ適用するために,入力方向制約下における劣駆動制御手法の導出とアクチュエータのフォールトトレラント配置の解析を目的とする. 衛星の実際的な劣駆動状態(アクチュエータ故障時)では,制御入力が一方向もしくは連成する状態が考えられる.これまでの可制御性や劣駆動システムの議論では,理想的な2軸周りトルクが発生できるという仮定のもとで研究が行われてきた.そこで,そのような理想的な入力方向に限定すること無く,実際的な劣駆動状態における可制御性を考慮し,それを最大限に保つことができるフォールトトレラントなアクチュエータ配置の設計手法を示した.本年度は,スラスタをアクチュエータとして扱った.スラスタは並進推力とそれに伴うトルクを発生するため,スラスタの位置だけでなく,向き(姿勢)の最適化も必要とする.したがって,並進力とトルクの両方を3次元方向に配分し,幾つかのスラスタが故障した際にも,可制御性を最大限に保つことができる配置を最適とした.スラスタの位置・姿勢をデュアルクォータニオンで表すことで,実部とデュアル部に並進力とトルクを分離する定義を示した.これにより単純な評価関数を用いたスラスタの最適配置はコントロールモーメントジャイロの最適配置と同じ手法で解くことができることを示した.この手法により,任意の重み付けをした評価巻数のもとで,幾つかのスラスタが故障しても可制御性を最大限に保つことができるスラスタ配置を求めることができる.ただし,この手法では最適化されたスラスタの位置と姿勢の対応が明確に結果として出力されないため,対応を調べる後処理が必要になるデメリットがある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
劣駆動制御の可制御性を考慮したアクチュエータのフォールトトレラント配置解析として,スラスタを対象にした.しかし,コントロールモーメントジャイロを用いた劣駆動の姿勢制御可制御性に比べ,スラスタは入力方向制約から,厳密な可制御性の議論が困難である.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究計画に沿って進める.前年度までの結果をもとに,最適アクチュエータ配置を用いたフォールトトレラントな姿勢制御則を導出する.コントロールモーメントジャイロでは,既存の適応姿勢制御則の拡張が可能と考えられる.スラスタでは,入力方向制約が存在するため,適応制御とは異なるアプローチが必要とされる.これらの姿勢制御則を実験的に検証するために,球型エアベアリングを用いた3次元姿勢制御実験装置の製作と準備を進める.
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Causes of Carryover |
今年度までに製作する予定だった実験機の製作が遅れ,解析や数値計算が主となったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用額の差異は,実験機の製作に使用する予定である.
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