2015 Fiscal Year Research-status Report
イオンエンジンにおけるスワールトルク発生機構の解明
Project/Area Number |
26820376
|
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
月崎 竜童 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70720697)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | マイクロ波 / キセノン / プラズマ / レーザ誘起蛍光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少惑星探査機はやぶさ、はやぶさ2に搭載されたマイクロ波イオンエンジンを対象として、イオンビームが生み出す旋回流を実験的に測定する研究である。1990年代以降の電気推進機の本格的な宇宙運用を通じて,加速噴射されたイオンビームが推進方向のみに噴射されるのではなく,推進方向軸を中心に旋回しており,粒子が旋回するように噴射されていることが判明した. このような現象は従来の地上試験では確認できず,姿勢制御への影響が無視できないものとなっている。実際の宇宙運用においては,リアクション・ホイールによる姿勢制御が行われ、最終的にはリアクションホイールの負荷軽減のため、化学スラスタでマヌーバを実施するなど、電気推進の制約の1つとなっている。 本研究では、レーザ誘起蛍光法を用いることで,プルーム中のキセノンイオンの蛍光信号を取得し,基準としてキセノン放電管により取得した蛍光信号と比較しドップラーシフトを評価することで、ビーム軸方向の速度を計測する.初年度は放電管の蛍光取得に成功し、そのままイオンエンジンプルームに応用したものの、S/N比が悪く蛍光取得が困難だった。今年度は集光系を改良するなど、実験装置を見直し、S/N比を従来よりも2桁よくしたところ、イオンエンジンプルームの蛍光取得に成功した。次年度は、放電管との差分を評価し、旋回流速度を求める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオンエンジンのプルームは、先行研究で実績のあるホールスラスタなどに比べプラズマ密度が1桁以上低く、プルームの蛍光取得がもっとも困難だと予見されていた。事実、初年度では放電管での蛍光取得は成功したものの、イオンエンジンのプルームは取得できなかった。光学系の改善により、SN比を大きく改善し、本年度にイオンエンジンによる蛍光取得に成功し、残るは放電管との差分を評価するのみである。
|
Strategy for Future Research Activity |
現状のレーザ強度30mW程度では、放電管とイオンエンジンプルームの両者に分割すると蛍光取得に必要な充分なレーザ強度を確保できない。ブースタアンプを組み込むことで、レーザ強度を10倍以上増強する。その上で、放電管とイオンエンジンプルームの同時測定を行い、ドップラーシフトを評価する。評価できるようになったあかつきには、ステージによる自動取得をおこない、中和器との位置関係をふくめて、ドップラーシフトを評価する。
|
Causes of Carryover |
2695円ほど、見積と差が生じたので、繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入。
|
Research Products
(10 results)