2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代宇宙推進機のための大電流ホローカソードの研究
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26820377
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
窪田 健一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究員 (10723364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホローカソード / 電流電圧特性 / Hybrid-PIC / 放射加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度開発した解析コードの検証のために、初年度製作した供試体による着火試験、及び電流電圧特性の取得試験を実施した。真空槽や電源などの試験装置は機構所有のものを利用した。本供試体は、本研究で独自に提案した放射加熱によるインサート加熱方式を採用しており、無事着火したことから本方式による作動が可能であることを実証することができた。放電電流10-50A、キセノン流量10-40sccmの範囲で放電試験を実施した結果、電流が低く、流量も少ない条件下ではプルームモード(放電電圧が高く、電流振動も激しいモード)、高流量、大電流の条件下ではスポットモード(放電電圧が低く、放電も安定するモード)となることを確認した。さらに、カソード出口のオリフィス径が電流電圧特性に与える影響について調査した結果、オリフィス径が小さくなるほどスポットモードでの作動範囲が広がることが示された。 得られた試験結果を受け、同じ条件における数値解析を実施した。流量、放電電圧、放電電流は試験条件に合わせ、インサート温度を調整することで収束解が得られるかを調査した。解析条件としてプルームモードとスポットモードの両条件を選択した。その結果、プルームモードと比較してスポットモードでは電子の輸送モデルに含まれるモデルパラメータ(イオン音波不安定性に起因する異常抵抗の係数)を小さく設定しなければ解が得られないことがわかった。これは、スポットモードではイオン音波不安定性がより抑制された流れ場であることを示唆しており、同モードがより安定した放電モードであることと合致する内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた数十Aでの放電試験、及び試験条件での数値解析が実施できたため、概ね順調に進展していると判断した。なお、現コードでは1ケース当たり数日という現実的な時間で計算が終わるため、計算負荷軽減のために導入を検討していた流体モデルとのカップリングは実施しないこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
プルーム中の流れ場(電子密度、電子温度、電位など)をプローブにより計測し、計算結果と比較することで解析モデルを検証する。さらに、解析で得られた熱流束を反映させた熱解析も実施し、温度計測結果との比較を通して解析結果の妥当性を検証する。解析モデルにはイオンによるスパッタリングの影響を調べる機能を追加し、放電条件と壁面損耗率の関係を調査する。 FY27の結果から、オリフィス形状依存性が電流電圧特性に与える影響が大きいことがわかったため、より広い領域でスポットモードを実現するためのオリフィス形状を引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
試験内容の調整に伴い、調達する消耗品の内容に変更があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
オリフィスの製作や予備インサートの調達、プローブ製作費に充てる。
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Research Products
(4 results)