2014 Fiscal Year Research-status Report
大粒径粒子のスラリー移送による管内摩耗量評価手法構築に関する研究
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26820383
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
高野 慧 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (90636820)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海底熱水鉱床 / 摩耗 / 揚鉱管 / スラリー流 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の排他的経済水域に賦存している海底鉱物資源を生産するための技術的課題の1つに揚鉱管の摩耗量評価に関する技術が挙げられる。海底鉱物資源を海上へ水とともに移送する際、粒径数十mm程度の大きな鉱石を移送することになり、鉱石が揚鉱管へ衝突することで揚鉱管が摩耗すると考えられる。揚鉱管の摩耗量推定は設計やシステムの運用条件(濃度や流速等)を決定する際の指標となるが、数十mm程度の大粒径粒子を水とともに移送した場合の配管摩耗に関する知見はほとんどない。これまでは砂のような粒径が1mm以下の小さい粒子の衝突を対象とした摩耗量推定に関する研究がほとんどであり、これらの知見を海底鉱物資源の海上への移送による揚鉱管の摩耗に適用するのは難しいと考えられる。そこで、本研究では大粒径粒子の衝突による摩耗特性の把握と、その摩耗特性を基にした管内摩耗量の評価手法の構築を目的としている。粒子の衝突による摩耗は、粒子が表面を削り取ることによる摩耗と押しこむことによる摩耗の和として表されるが、衝突角度に応じて寄与率が異なると考えられ、本研究では角度と寄与率の関係や粒径及び衝突速度と摩耗量の関係を明らかにする。またこの摩耗特性と管内の大粒径粒子のスラリー移送を模擬した数値計算結果を組み合わせることで摩耗量を評価し、その摩耗量推定結果が妥当であるかを検証するために、計算条件と同程度の条件で配管摩耗試験を実施して推定結果を評価する。平成26年度は落下衝撃試験を粒径や衝突角度、落下高さを変更して試験を実施し、大粒径粒子と鋼材の摩耗量の関係を把握した。試験結果から衝突角度と寄与率の関係や粒径や衝突速度が摩耗量に影響を及ぼすことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね申請書に記載した研究計画どおりに進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策は申請書に記載した方法を予定しており、以下のとおりである 平成27年度は配管内部を水と粒子を流す数値計算を実施し、粒子の配管内面への衝突情報(衝突総重量・衝突角度・衝突速度)を取得する。数値計算には商用コードもしくはオープンソースのコードを用いる予定である。配管内部の流体の流れを計算するためにCFD(数値流体力学)を実施し、粒子の挙動の解析にはDEM(個別要素法)を用いることで、粒子同士の衝突を考慮した計算を実施することができる。ただし、水の流れの中の大粒径粒子の挙動を解析するためのCFDとDEMを組合せた計算では計算コストも高く、計算上の制限があることが想定されることから、CFDとDEMを組合せた計算を実施することが難しい場合には粒子同士の衝突を考慮しない計算を実施し、粒子の衝突情報を取得することも検討する。そして数値計算により取得した粒子の衝突情報と摩耗特性を組合せて配管摩耗量を推定する。 また平成28年度は平成27年度に推定した摩耗量を検証するための配管摩耗試験を実施する。数値計算で用いた配管モデルと同程度の配管径と数値計算で用いた粒径と同程度の粒径の模擬鉱石を用いて試験を実施する。試験では海上技術安全研究所が所有している水と模擬鉱石を同時に移送できるようなサンドポンプを用いて循環式の試験とする予定である。循環式の試験とすることで有意な配管摩耗量を効率良く得られると考えられる。また摩耗量を計測する配管は平成26年度に摩耗特性を把握した材料と同様の材料を用いることとする。
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Causes of Carryover |
落下衝撃試験装置が当初想定していたより安価に製作できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値計算用のPCや平成28年度に実施予定の循環式の配管摩耗試験での消耗品、また実験でデータを収録するためのノートPC等を購入するために使用予定。
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