2014 Fiscal Year Research-status Report
舶用ディーゼル機関における燃料成分及び触媒の劣化度が亜酸化窒素の排出に及ぼす影響
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26820387
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
柳 東勲 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20608632)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 亜酸化窒素 / 地球温暖化ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ディーゼルエンジンにおける燃料中の窒素/硫黄分濃度が亜酸化窒素の生成・分解に及ぼす影響を実験的に調べると共に,SCR触媒において,短期触媒被毒による触媒劣化が亜酸化窒素生成に及ぼす影響に関する調査を目的としており,平成26年度は,以下の研究を行った. ① 実験装置の製作 ②ガス反応の基礎データの取得 ③正常状態のSCR触媒による亜酸化窒素の生成又は分解実験の実施:亜酸化窒素の生成・分解過程を明らかにするため,模擬排ガスの濃度及び反応温度の調節が可能な実験システムを構築し,触媒装着前に常温から実排ガスの温度である400度までの各温度におけるガス変質反応を調べ,温度とガス変質反応の対応を示す基本データを取得した.また,正常状態SCR触媒単体により生成又は削減される亜酸化窒素の温度依存性を考慮しており,平成27年度の目標である触媒活性化温度以下及び以上におけるアンモニアガス注入時の亜酸化窒素の生成・分解について検討を行った. ④ 実機において燃料中の硫黄分,窒素分が亜酸化窒素に及ぼす影響:実機ディーゼルエンジンにおいて燃料中の窒素分又は硫黄分による亜酸化窒素の発生傾向を把握し,発生経路について考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ディーゼルエンジンにおける燃料中の成分が亜酸化窒素に及ぼす影響については,当所が保有している小型ディーゼルエンジン及び燃料成分変更用の薬品を使用することにより素早く準備ができ,当初の計画より早く亜酸化窒素の燃料依存性について明らかにした.また,当所が保有しているガス反応装置及び反応用ガスを本研究の一部研究で使用しており,流動式反応装置の組み立てが予定より早いペースで完成でき,平成27年度に予定していた活性化温度以下における還元剤注入及び無注入時の亜酸化窒素変化に関する実験だけではなく,劣化した触媒の活性化温度以上において活性化に伴う亜酸化窒素の変化まで評価ができた.以上の理由により,計画より早い段階で研究が進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では,劣化した一つの触媒による亜酸化窒素の発生・削減に関して研究をしており,異なる劣化度による評価はできていない.そのため,平成27年度には劣化度が異なる触媒を製作し,触媒劣化度による亜酸化窒素の発生・削減にについて研究を実施すると共に,ディーゼル排ガスを模擬した反応ガスによる亜酸化窒素の変化に関して調査を行う.これにより,模擬排ガス流動式反応器を用いて触媒温度及び劣化度に依存した亜酸化窒素の発生/低減メカニズムについて反応動力学的な観点から考察を行う.
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Causes of Carryover |
物品費に関しては所属機関の既存機器及び反応用ガス等を利用できたためであり,旅費に関しては,外国発表予定を国内発表に変更したためである.また,その他に関しては学術講演会の参加費,論文投稿料および学会費等の予定額の残額である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度では,反応用・計測器用の標準ガス及び測定用品等を購入する予定であり,本研究課題の更なる推進に必要となる物品等の購入に適正に使用する予定である.また,本研究課題が当初の計画より進んでいることに伴い,研究成果の国内及び海外学会発表を増やす予定である.
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