2015 Fiscal Year Research-status Report
応力下X線CTを用いた超臨界CO2と水が共存する砂岩貯留層のポロメカニクスの解明
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26820392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 則昭 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (60466539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 二酸化炭素削減 / 地球温暖化ガス排出削減 / 環境技術 / 大深度地下 / 廃棄物処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素(CO2)の地中貯留において,砂岩などの多孔質岩石からなる貯留層の多孔質弾性体としての力学,すなわちポロメカニクスを理解することは極めて重要である。例えば,CO2のモニタリング手法として期待されている地表面変位の逆解析手法では,流体移動に起因する貯留層の変形と地表面変位とを多孔質弾性論で結びつけるため,貯留層の多孔質弾性パラメータにおける封圧,間隙圧,CO2飽和率および温度依存性の定量的把握および定式化が求められる。これまでの研究により,地層水のみが存在するか,CO2が地層水に完全に溶解した場合の多孔質弾性パラメータは明らかになっている。そこで本研究ではこれまでの研究を発展させ,水と超臨界CO2が共存する砂岩の多孔質弾性パラメータを応力下ノイズレスX線CT等の室内実験を通じて明らかにする。 昨年度は,水-超臨界CO2系二相条件下の砂岩に関して,飽和率,間隙圧,温度および三軸応力(すなわちCO2貯留環境)制御下での多孔質弾性パラメータの精密測定を実施するための室内実験システムを開発した。さらに室内実験を通じて,多孔質弾性パラメータのTerzaghiの有効応力依存性(約40MPaまでの有効応力条件)に関して膨潤性粘度鉱物の影響を解明するとともに定式化を行い,加えて,CO2飽和率依存性に関して有効応力30MPaおよび50℃での予備実験を実施し,CO2飽和率依存性が残留飽和率付近で大きく変化する可能性を明らかにした。 本年度は,水-超臨界CO2系二相条件下の砂岩に関して,様々な条件下における各種多孔質弾性パラメータを定量的に把握し,最終的に有効応力2MPa以上,CO2飽和率0~1,間隙圧10~30MPaおよび温度40~60℃の範囲で適用可能と考えられる多孔質弾性パラメータの推算式を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度得られた成果は,当初の計画では本年度と来年度の2か年度で得られるものと予想していたが,実験を円滑に実施することができたため,当初計画よりも早く研究を進展させることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,当初の計画以上に研究が進展したため,研究は概ね完成していると考えられるが,これまでに得られた実験結果および多孔質弾性パラメータの推算式の妥当性の検証や,これまでに実施した実験の条件以外での実験の必要性の検討が必要と考えられるため,これらの点に取り組み,研究成果をより良いものとし,研究を完成させる。
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