2014 Fiscal Year Research-status Report
空間時間分解シングルショットパルスラジオリシスの開発
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26820406
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 正雄 大阪大学, 産業科学研究所, 研究員 (60705094)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パルスラジオリシス / 超高速分光法 / シングルショット測定 / 吸光度測定 / 放射腺化学 / 超高速反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は量子ビーム誘起反応の初期過程を解明するため、超高時間分解能を有するパルスラジオリシス測定をシングルショットで実現することが目的である。測定サンプル中の電子の伝搬を検出光パルスで切り取り、時間発展を空間的に分離し、高時間分解測定を実現しようというものである。 極短パルス電子ビームをイオン化源とし、フェムト秒レーザー光を検出光として、サンプルセル中の電子ビーム進行方向にタイミングを合わせて検出光を垂直に入射し、ラインディテクタで検出光強度を測定した。電子ビームがサンプルセルを突き抜ける前に検出光パルスを照射すると、電子ビーム入射側はイオン化後数ピコ秒経過しているのに対し、進行方向ではイオン化が起きていない状況となる。この空間的に展開された時間発展をラインディテクタで検出することで、時間分解測定を行った。 正確な時間発展の測定のためには、電子ビームの散乱によるイオン化効率の減少と、検出光のサンプルの屈折率と、過渡種の存在する厚みに依存する時間的遅延を考慮することが必要である。従って、本測定法と従来からのストロボスコピック法による測定結果を比較し、理論的に求められる散乱と時間遅れの効果と実測との一致を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【空間時間分解シングルショットパルスラジオリシスの原理実証】昨年度末に本研究の電子ビーム源である線形加速器の移設があった。移設に伴い、本年度初めは線形加速器の立ち上げ作業に追われていたが、現状では原子力規制庁の運転許可を待つ状態である。加速器の立ち上げは必要な工程であったものの、当研究所の放射腺主任者による原子力規制庁への変更申請の提出が10ヶ月程度の遅延し、結果として現在でも加速器の運転ができない状況により方法論の実証ができず、計画が遅れいる。光誘起反応では測定できており、当初の予定通り測定原理の実証は達成された。ただし、電子ビームは使用できていないので、「パルスラジオリシス」の原理実証には至っていない。 【光学系の最適化】測定の光学系は順調に組み上がっており、レーザーを用いて光励起を代わりに用いた光誘起反応を検出する実験を行っている。次年度に計画していた高時間分解能化にも着手した点はむしろ計画が進んでいる点である。ただし、高時間分解能化に必要なパーツと光学系の準備をしている段階である。 【既存の方法に対する優位性】パルスラジオリシスとしての性能評価をできておらず、本方法の優位性の評価ができていない。線形加速器の運転が可能になり、システムの調整が終わり次第、実際の評価を進めていける準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザー光パルスを用いた光誘起反応を用いて光学系の最適化と測定システムの高時間分解能化を進める。本年度実装しなかった遠隔調整システムについても早期に実装する。また、S/N比の向上についても電子ビームの利用ができるようになり次第取り組み、到達可能な最高時間分解能を見積もり、実際の実験と比較を行う。本測定法と従来のストロボスコピック法との比較を行い、本測定が正しい時間発展を測定していることを確認する。測定法としての従来の測定法に対する優位性と不利な部分についの評価を行い、本測定法の発展について吟味する。
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Causes of Carryover |
線形加速器の移設に伴い、暫く電子ビームの利用ができない状況が予想されたため、遠隔制御システムよりも光学系の最適化に伴う物品の購入を優先したため、当初の予定とは異なる最終使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度と次年度で前後する形となったが、当初の予定通り測定システムの高度化を進めていく。また、国内外の状況を知ると同時に、本研究の成果を学会・論文発表として発振する。さらに、本成果を用いて放射腺化学初期過程の探索を行う。
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[Journal Article] 2.Measurement of < 20 fs bunch length using coherent transition radiation2014
Author(s)
I. Nozawa, K. Kan, J. Yang, A. Ogata, T. Kondoh, M. Gohdo, K. Norizawa, H. Kobayashi, H. Shibata, S. Gonda, Y. Yoshida
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Journal Title
Phys. Rev. ST Accel. Beams
Volume: 17
Pages: 072803
DOI
Peer Reviewed
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