2015 Fiscal Year Research-status Report
多様な資源と技術及びエネルギー形態を考慮したバイオマス利活用システムの最適設計
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26820416
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古林 敬顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40551528)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス / エネルギーシステム / 最適設計 / ポテンシャル評価 / 地域エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内に賦存するバイオマス資源のエネルギー利用に向けて、資源、前処理、エネルギー変換、需要、廃棄物処理の5つのプロセスを考慮した、バイオマス利活用システムの最適設計手法を構築することを目的とする。多様なバイオマス資源、前処理技術、エネルギー変換技術をデータベース化して、地理情報データベースと組み合わせることで、バイオマスエネルギーの技術ポテンシャルを明らかにするレイヤーモデルを構築する。構築したモデルに、対象地域の熱、電力、輸送用燃料の需要分布を考慮することで、地域特性を考慮したバイオマス利活用システムの最適設計手法を構築する。ケーススタディを通じて、対象地域におけるバイオマスの最適な利用方法が明らかとなり、地域社会の低炭素化、エネルギーレジリエンスの向上及び経済波及効果に資することが期待される。
当該年度は、前年度同様データベース作成を継続し、作成した基盤データベースを用いて、代表的なスケールにおける多様な資源と技術の組み合わせを考慮し、対象資源を利用した技術ポテンシャルを明らかにした。次に、基盤データベースと地理情報データベースを組み合わせたレイヤーモデルを構築し、対象地域を設定した場合、資源の賦存量等を考慮したバイオマスエネルギーポテンシャルを明らかにした。スケールを統一して評価するためには、規模の効果を表すスケールファクターが重要となるが、導入事例が少ない技術のスケールファクターのデータは入手が困難であったので、エネルギー変換技術の代表的な値である0.67をスケールファクターとして設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の三段階で行う計画である。(1)各種バイオマス資源、前処理技術及びエネルギー変換技術に関する基盤データベースと、対象地域の地理情報データベースを作成して、地域特性を考慮したレイヤーモデルを構築する。(2)構築したレイヤーを用いてバイオマスエネルギーの技術ポテンシャルを明らかにする。(3)エネルギーだけでなくエクセルギーを評価指標に加えることで、対象地域における熱、電力、輸送用燃料の需要分布を考慮した最適なバイオマス利活用システムを設計する。 当初の予定通り、前年度までに(1)及び(2)を行ったので、最終年度は(2)を継続しつつ(3)を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに構築したレイヤーモデルを基に、地域の熱、電力、輸送用燃料の需要量及び需要分布を考慮して、エクセルギーを評価指標に加えることでエネルギーの質も考慮することができる、包括的なバイオマス利活用システムの最適設計手法を構築する。ケーススタディとして対象地域を具体的に設定し、費用最小化、CO2削減量最大化、地域資源利用量の最大化等を目的関数としたバイオマス利活用システムを最適設計する。 熱の需要量は、対象地域が小規模になるほど地域特性が重要となるが、統計データは少なくなる。東北地方等の寒冷地に、全国の平均データを適用することは妥当ではないため、フィールド調査による実測値と、暖房時間や外気温等から求めた推計値を用いる。輸送用燃料の需要量は、対象地域の給油スタンドのフィールド調査及び統計データから推計する。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していた海外出張を学内行事のためにキャンセルし、当該年度に予算を繰り越して、当該年度で国際会議の発表回数を増やす予定だった。しかし、国際会議の一つが国内で行われたので、当該年度の予算執行がほぼ予定通りとなり、同額程度を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度は日本で行われた国際会議が、次年度はマレーシアで行われるので、旅費及び参加費として使用する予定である。
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