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2014 Fiscal Year Research-status Report

善悪二面性を有するミクログリアのなかで保護的性質を決定する内在性因子は何か?

Research Project

Project/Area Number 26830040
Research InstitutionAsahikawa Medical College

Principal Investigator

田中 達英  旭川医科大学, 医学部, 助教 (80567032)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsmicroglia / polarization / IRF7
Outline of Annual Research Achievements

ミクログリア(MG)は組織傷害性細胞としての側面と保護性細胞としての側面を持つことから、脳組織に対して活性化ミクログリアはその二面性が議論されるが、この二面性は細胞内でどのように制御されているのかは明らかにされていない。本研究ではMGの傷害的性質の決定と保護的性質の決定にはswitch因子が存在すると考え、MGの病態への方向性(軽減か憎悪か)を決定する分子機序の解明に着手した。
マウスのcortexから調整した初代培養のMGを傷害性MG、保護性MGに分化させてその細胞機能を解析した。MGに発現する因子や貪食能、細胞形態は傷害性MGと保護性MGで異なった性質を示し、また、これらのMGは細胞外の刺激に応じてフェノタイプがシフトする結果を得た。MGの内在性因子が傷害性または保護性の性質を制御していると考えられた。
本研究では、傷害性MGや保護性MGの性質を制御している内在性因子として、転写因子であるIRF7に着目した。MGを傷害性MGに分化させるとIRF7の発現量が上昇するが、保護性MGへシフトさせると、IRF7の発現量は時間依存的に減少した。一方で保護性MGから傷害性MGにシフトさせるとIRF7の発現量は時間依存的に上昇することを明らかにした。
IRF7はin vitroにおいて傷害性MGまたは保護性MGから傷害性MGにシフトさせた時に発現が上昇することから、IRF7の傷害性MGマーカーに及ぼす影響について検討した。IRF7の発現をsiRNAでノックダウンするとLPS誘導性の傷害性MGマーカーの発現量は抑制された。さらにミクログリアを保護性MGから傷害性MGにシフトさせた時の傷害性MGマーカー発現量もIRF7発現をsiRNAでノックダウンしたもので抑制された。これらのことから、IRF7は傷害性MGマーカーの発現を制御していることが明らかにすることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では傷害性MGから保護性MGに変換する際に働くswitch因子の同定を試みていたが、これまでの研究で、期待されるような保護性MGへのswitch因子は同定できていない。初年度は申請書に記述した代替え案に従い、保護性MGから傷害性MGへ転換するswitch因子の同定に切り替えた。傷害性MGへ転換するMGを阻害させることができれば、抗炎症薬の開発戦略としても意義があり、保護性MGから傷害性MGへのswitch因子の同定も重要である。実験手技やアッセイ系は保護性MGへのswitch因子同定方法と同じものを使用することが出来るため、方針変更後の時間のロスは最小限に抑えられた。

Strategy for Future Research Activity

初年度は保護性MGおよび傷害性MGの性質について詳細に検討し、保護性MGから傷害性MGへ転換するswitch因子の一つを同定し、この成果を論文にすることができた。今後は、当初の計画に従い、傷害性MGから保護性MGに変換する際に働くswitch因子の同定を試みる。このswitch因子を同定するために、IL-4処理したMGをcDNAマイクロアレイ解析で網羅的に探索する。細胞の分化や表現系変化の起点は転写因子であることが多いことから、網羅的解析を受け転写因子群に焦点を当て、保護性MGへのswitch因子を絞り込む。さらに、絞り込んだ転写因子群が初代培養MGにおいてIL-4刺激で発現上昇するかをRT-PCR法、ウェスタンブロット法、細胞染色法で確認する。
なお、候補因子の絞り込みにはcDNAマイクロアレイを用いるが、RT-PCR法、ウェスタンブロット法のみでも現在数種類の候補因子(保護性MGへのswitch候補分子)を絞り込み、この因子について解析を進めている。網羅的解析から得られたデータと合わせて研究を進める。

Causes of Carryover

当初の計画では傷害性ミクログリア(MG)から保護性MGに変換する際に働くswitch因子の同定を試みていたが、これまでの研究で、期待されるような保護性MGへのswitch因子は同定できなかった。そこで、申請書に記述した代替え案に従い、保護性MGから傷害性MGへ転換するswitch因子の同定に切り替えた。二年目は当初の計画に従い、傷害性MGから保護性MGに変換する際に働くswitch因子の同定を試みるが、このswitch因子を同定するために、RT-PCR法、ウェスタンブロット法、細胞染色法で使用するプライマーや一次抗体が必要になり、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

傷害性ミクログリア(MG)から保護性MGに変換する際に働くswitch因子を同定するために、cDNAマイクロアレイ解析、RT-PCR法、ウェスタンブロット法、細胞染色法を用いるが、これに必要な物品に使用する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Interferon regulatory factor 7 participates in the M1-like microglial polarization switch.2015

    • Author(s)
      Tanaka T, Murakami K, Bando Y, Yoshida S.
    • Journal Title

      GLIA

      Volume: 63 Pages: 595-610

    • DOI

      10.1002/glia.22770

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] M1-likeミクログリアへの極性スイッチにはinterferon regulatory factor 7が関与する2015

    • Author(s)
      田中達英、村上公一、板東良雄、吉田成孝
    • Organizer
      日本解剖学会
    • Place of Presentation
      神戸
    • Year and Date
      2015-03-23
  • [Presentation] Interferon rgulatory factor 7 participates in the M2-like to M1-like microglial polarization switch.2015

    • Author(s)
      Tanaka T, Murakami K, Bando Y, Yoshida S.
    • Organizer
      Keystone symposia
    • Place of Presentation
      Taos, USA, USA
    • Year and Date
      2015-01-28
  • [Presentation] Changes of microglial characters in response to extracellular stimulation.2014

    • Author(s)
      Tanaka T, Murakami K, Bando Y, Yoshida S.
    • Organizer
      Society for Neuroscience
    • Place of Presentation
      Washington, DC, USA
    • Year and Date
      2014-11-18
  • [Presentation] 細胞外刺激に応じたミクログリアの機能変化2014

    • Author(s)
      田中達英、村上公一、板東良雄、吉田成孝
    • Organizer
      日本神経科学会
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      2014-09-12

URL: 

Published: 2016-06-01  

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