2016 Fiscal Year Research-status Report
感覚受容器におけるグリアーニューロン相互作用の分子メカニズムに関する研究
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26830049
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中台 枝里子 (鹿毛枝里子) 大阪市立大学, 複合先端研究機構, 特任准教授(テニュアトラック) (40453790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グリア細胞 / 線虫 / 感覚器 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリア細胞は、ニューロンとともに神経系を構成する必須な細胞である。近年、視覚や嗅覚などの感覚受容器においてグリア細胞がニューロンの発生や再生において不可欠の役割を果たすことが明らかとなってきたが、その分子メカニズムについては未解決の課題も多い。本研究では、感覚受容器のグリア細胞がニューロンの発生、機能を制御する仕組みの分子的基盤を明らかにすることを目的とし、モデル動物として、シンプルな細胞構成の(4個のグリア細胞と24個の感覚受容ニューロン)感覚受容器をもつ線虫C.elegansを用いて解析を進めてきた。これまでに、グリア細胞におけるpros-1の機能が、様々な感覚ニューロンの機能に必要であることを明らかにしてきた。すなわち、転写因子CEH-26がグリア細胞特異的に発現すること、グリア細胞は単なる支持構造としてではなく、CEH-26下流のシグナル因子を介して様々な感覚ニューロンの発生/機能の制御に関わるという知見を得た。今年度は低温耐性に必須の役割を果たすASJ感覚ニューロンへの影響について検証を行った。その結果、pros-1 RNAiにより線虫の低温耐性が異常になることを明らかにした。ASJ感覚ニューロンのカルシウムイメージングを行なった結果、温度変化に対するASJの応答に異常は見られなかった。以上の結果から、ASJの興奮以降のシグナル伝達系などの関与あるいはASJ以外の細胞の関与が示唆された(Kage-Nakadai et al. 2016 Genes to Cells)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、転写因子PROS-1の下流遺伝子の少なくとも一部を同定した。また当初の予定にはなかったが、グリア細胞と低温耐性の関連を明らかにすることができた。これらの研究成果を論文により発表した。よって研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
グリア細胞と感覚ニューロンの相互作用の分子実体を明らかにするため、転写因子PROS-1の下流遺伝子がコードするタンパク質(グリア細胞側)と相互作用する感覚ニューロン側の候補タンパク質について解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初の予定より効率的に変異体作製などを行うことができたため、本年度当該研究費が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定より解析対象となる遺伝子(変異体)が増えたため、次年度の当該研究費にあてる。
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