2015 Fiscal Year Annual Research Report
ラット新規小眼球関連遺伝子の同定と、それをターゲットにした新規マウスモデルの樹立
Project/Area Number |
26830057
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (20508113)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無眼球症 / ラットモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒト小眼球症のモデルとなりうる無眼球ラット系統を樹立し、さらに、本系統は他系統との交配によって、ヒト集団にみられるような表現型バリエーションを示すこと、およびその発症原因遺伝子および修飾遺伝子が、ともに第16番染色体に存在することを明らかにした。そこで本研究は、無眼球ラットの発症原因遺伝子および修飾遺伝子群の同定、ならびにそれら遺伝子群の遺伝子改変動物を用いた眼球発生における遺伝子機能の解明を目的とした。 本年度では昨年度のRNA-seqにより得られた発現変動遺伝子群について、免疫組織染色またはin situハイブリダイゼーション解析による発現解析を実施した。その結果、RNA-seqの発現量の減少と同様に、NAKラットにおいて組織レベルにおいてもVSX2およびRaxの著しい発現量の減少が認められた。さらに、NAKの水晶体および網膜においてPAX6の発現が認められた一方で、SOX2については水晶体のシグナルが検出されたのに対し、網膜においてのみシグナルの欠失が認められた。以上のことから、NAKラットの胎児期における眼球消失は、網膜発生の異常に起因することが強く示唆された。 加えて、本年度ではホールゲノムリシークエンシングによって、これまでの連鎖解析によって候補となった染色体領域の網羅的変異スクリーニングを実施した。その結果とin silico解析の結果から、第16番染色体に存在する2つの遺伝子がNAKの表現型に関与する有力な候補遺伝子であることが示され、それら遺伝子のうち1つにはサンガーシークエンスによりNAK特異的な非同義置換、もう1つにはRT-PCRにより3'側の転写産物の欠失が認められた。以上の結果から、これら遺伝子がNAKラットの表現型に関与することと強く示唆された。
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