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2014 Fiscal Year Research-status Report

脳腫瘍がん幹細胞の未分化性の維持機構の遮断とその臨床応用

Research Project

Project/Area Number 26830067
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

古室 暁義  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50512274)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords膠芽腫 / 脳腫瘍幹細胞 / BMP / 融合遺伝子
Outline of Annual Research Achievements

我々は難治性癌である膠芽腫において骨形成因子BMP4に加えてBMPシグナル抑制因子(Smad6)を特異的siRNA (siSmad6)を用いてBMPシグナルをさらに増強することで、脳腫瘍幹細胞の未分化性を顕著に阻害し、腫瘍形成能を劇的に抑制することを見出した。この時、BMP4とsiSmad6によって発現が変動する標的遺伝子の中で脳腫瘍幹細胞の未分化性維持の阻害に関与が予測される因子を多数同定した。これまで、いくつかの因子について、脳腫瘍幹細胞の未分化性維持や阻害に影響を与えるものを同定し検討を進めている。検討に際しては、マウス頭蓋内移植モデルを用いて、実際に腫瘍形成能を阻害する効果があるものもあった。これまで、脳腫瘍幹細胞の阻害についてのメカニズムをsiRNAや阻害剤、ドミナントネガティブフォームなどの変異体を安定発現させた脳腫瘍幹細胞を使って検討したところ、マウス頭蓋内移植モデルで腫瘍形成を阻害する可能性が示唆される結果を得ている。
さらに、実験計画内で使用したRNA-Seqを用いたことによって、いくつかの融合遺伝子を発見することに成功した。この中で1つの融合遺伝子に着目し、この融合遺伝子を強制発現することで腫瘍形成能を獲得することがこれまでの検討で明らかになった。引き続き、機能解析や腫瘍形成の影響への関与について調べている。
本研究で得られた成果は膠芽腫の新たな治療法の開発だけでなく、融合遺伝子による癌発生のメカニズムの新たな知見として重要な研究となることが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

脳腫瘍幹細胞TGS-01とMicro arrayやRNA-Seqを用いて、BMP4シグナルによって脳腫瘍幹細胞の未分化性維持への関与が予測される因子を多数同定した。このうち、転写因子やHedgehogシグナル伝達系に関与する因子が脳腫瘍幹細胞TGS-01とTGS-04のsphere形成能や腫瘍形成能に影響を与えることが分かった。現在、そのメカニズムについてin vitro, in vivoの両方の視点から検討を進めている。
さらに、RNA-Seqのデータから融合遺伝子の探索解析を行い、いくつか融合遺伝子を発見することに成功した。そのうちの未だ報告のない一つの融合遺伝子について検討したところ、驚くことに、この融合遺伝子を強制発現させることでNIH3T3細胞をトランスフォームさせ、腫瘍形成能を獲得することが分かった。現在、この融合遺伝子のin vivoにおける腫瘍形成能やシグナル伝達系への影響を中心に機能を調べている。

Strategy for Future Research Activity

本年度に同定したBMP4シグナルによって脳腫瘍幹細胞の未分化性維持への関与が予測される因子について、引き続きマウス頭蓋内移植モデルを使いながら検討を進める。これらの因子を強制発現させた安定発現株の脳腫瘍幹細胞TGS-01やTGS-04を作成したところ、Sphere形成能や腫瘍形成能に影響を与えることが分かったが、今後は恒常的に発現をノックダウンしたTGS-01やTGS-04の細胞株を樹立し、in vitroおよびin vivoの条件下で影響を与えるか検討を行う。また転写因子についてはdeletion mutantやドミネントネガティブフォームなどを作成して脳腫瘍幹細胞の未分化性維持への影響や腫瘍形成能について検討する。Hedgehogシグナル伝達因子についても、特異的なsiRNAや阻害剤などを用いて脳腫瘍幹細胞への影響を調べる。
今年度、我々が新たに見つけた融合遺伝子の機能解析を進める。in vitro および in vivoで、腫瘍形成能を獲得するか調べてゆく。この融合遺伝子がどのようなシグナル伝達系に影響を与えるかメカニズムを明らかにする。さらに、この融合遺伝子を標的とした阻害剤や低分子化合物を使って治療効果が得られるか、マウス頭蓋内移植モデルを用いながら検討を行う。

Causes of Carryover

今年度に脳腫瘍幹細胞を用いたRNA-Seqのデータより融合遺伝子の探索解析を行ったところ、未だ報告のない融合遺伝子を見つけることに成功した。助成金の申請当初の実験計画には融合遺伝子の探索については予定していなかったが、我々が発見した新規の融合遺伝子について機能解析を進めた。その後の検討から、この融合遺伝子を強制発現させることによってNIH3T3細胞をトランスフォームし腫瘍形成能を獲得することが分かった。今後、この融合遺伝子が脳腫瘍幹細胞の未分化性維持や膠芽腫細胞の腫瘍形成能にどのような影響をおよぼすか頭蓋内同所移植モデルの検討結果をもとに判断する必要があり、計画予定していた助成額の一部を次年度に使用する必要性が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

助成金申請時に計画していたBMPシグナル依存的な脳腫瘍幹細胞性の阻害に関与する因子ついての検討を行いながら、同時に融合遺伝子についての機能解析を進める。
融合遺伝子についての腫瘍形成能や脳腫瘍幹細胞の性質への影響についての判断には、頭蓋内同所移植モデルを用いて検討を進める。この融合遺伝子のシグナル伝達系に与える影響についての機能メカニズムの解明にはin vitro条件下の実験系を主に用いて検討する。さらに、この融合遺伝子やシグナル伝達系に作用する阻害剤や低分子化合物を投与することによって治療効果が得られるかも頭蓋内移植モデルを用いて調べるために、計画予定していた助成額の一部を次年度に使用することとする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Identification of a novel fusion gene, HMGA2-EGFR in glioblastoma2015

    • Author(s)
      Akiyoshi Komuro, Caname Iwata, Manabu Soda, Kazunobu Isogaya, Yasushi Ino, Tomoki Todo, Hiroyuki Aburatani, Atsushi Natsume, Akitake Mukasa, Nobuhito Saito, Hiroyuki Mano, Kohei Miyazono, Daizo Koinuma
    • Organizer
      Joint international symposium on TGF-β family and cancer Signal network in tumor microenvironment
    • Place of Presentation
      International congress center ‘Epochal Tsukuba’ (Tsukuba Ibaraki)
    • Year and Date
      2015-01-12 – 2015-01-13

URL: 

Published: 2016-06-01  

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