2015 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境中における腫瘍関連マクロファージの生体機能イメージング
Project/Area Number |
26830070
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上岡 裕治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50511424)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | FRET / 生体イメージング / マクロファージ / 癌微小環境 / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ(Tumor-Associated Macrophage, TAM)に注目し、腫瘍関連マクロファージが生体内のいつ、どこで発生するのか、どのようなシグナル伝達分子が関わっているのかを、生体イメージングと多次元データの半自動化解析によって明らかにすることである。 平成27年度の研究では、当初予想していたよりも腫瘍関連好中球(Tumor-Associated Neutrhophil, TAN) に関する知見が多く得られた。具体的には、前年度にセットアップしたImaging windowによる原発巣観察系に加えて、肺での癌転移観察系を立ち上げたところ、マクロファージよりも好中球(Ly6G陽性細胞)が癌微小環境においてERKの活性化を通じて癌転移を促進していた。少なくとも代表者が用いた癌転移モデルにおいては、TAMの肺での出現はTANのあとに見られた。本転移モデルにおいて癌細胞の転移に関わると考えられるケモカインを抗体アレイによって同定し、shRNAによるノックダウンを行うことで転移が抑制されることも確認した。また、本転移モデルにおいて、好中球でのERKの活性化が癌転移に重要であることがわかったため、ERKの活性化領域を半自動で計測するプログラムを作成し、解析を行った。(論文準備中)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の予定では単球・マクロファージ特異的にCre recombinaseを発現するLysM-Creマウスと、FRETマウス交配させ、単球・マクロファージの生体イメージングを行う予定であったが、LysM-Creマウスの入手が遅れた。しかし、並行して進めていたFRETマウスからの骨髄移植および担癌モデルで、主に顆粒球(Ly6G陽性)と単球(F4/80陽性)の細胞動態とERK活性を測定することに成功した。そこで、単球・マクロファージと合わせて、癌微小環境における好中球の解析も進めたところ、予想していたよりも好中球でのERK活性が癌転移に重要であることがわかった。平成28年度以降に、研究代表者の所属先が変わることが決まったため研究活動に少し遅れが生じたが、当初の目標は達成できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、新しい所属先で研究のセットアップを行う必要があるため、研究活動に多少の遅れがあると予想している。そこでFRETイメージングによって活性変化を調べる研究対象の分子をERKに絞りこむ予定である。また新しい所属先には免疫系に詳しい研究者が多いため、腫瘍免疫の観点から本研究を見直し、現在得られている知見を論文にまとめる作業を進める。Imaging windowを用いた原発巣のイメージングは平成27年度末に論文にまとめることができたので、平成28年度は基本的に肺のイメージングを中心に観察実験を行う。
|
Causes of Carryover |
LysMマウスの購入手続き(約100万円)の遅れと、所属先異動(転出)のために研究が遅れたため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい所属先でのセットアップ等、必要な消耗品などに使用する。 マウスの購入は見直す。
|
Research Products
(5 results)