2014 Fiscal Year Research-status Report
新規mTOR下流シグナル経路による癌進展メカニズムの解明
Project/Area Number |
26830078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中津海 洋一 九州大学, 生体防御医学研究所, 研究員 (20596837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | mTOR / mTORC1 / CCL2 / FOXK1 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORC1の異常活性化は様々ながんにおいて観察されており、その阻害剤であるラパマイシンは抗がん剤として知られている。一方で申請者はmTORC1-FOXK1-CCL2シグナル経路を新規にHeLa細胞を用いた解析から見出した。mTORC1が活性化すると、FOXK1を介してCCL2の発現が誘導され、単球やマクロファージが浸潤することが予測される。 近年、がん患部が慢性的な炎症状態にあり、炎症の程度が予後と相関することが知られている。そこで申請者はmTORC1の活性化によるCCL2の発現上昇が、腫瘍随伴マクロファージ(TAM, Tumor-associated macrophage) の浸潤に寄与し、その結果腫瘍が増大するのではないかと仮説を立て、マウスモデルの実験系によってこれを明らかにした。 また、同時にラパマイシン投与によりTAMの浸潤が抑制されるという現象を新たに見出した。これまでラパマイシンによる抗がん効果はHIFの抑制による血管新生抑制であると10年以上の間、専ら説明されてきたが、新たな下流シグナルの解析から、阻害剤の薬理作用についてTAMの浸潤阻害という新たなメカニズムを提示するに至った。 現在はFOXK1ノックアウトマウスを作製し、その解析に取り掛かっている。mTORC1の異常活性化に起因し、炎症病態を伴う様々な疾患について、本シグナル経路が関与するかについて今後詳細な解析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんとmTORC1の新たな関係性について知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はFOXK1阻害剤のスクリーニング系を構築する予定である。またFOXK1ノックアウトマウスを作製し、その解析に取り掛かっている。mTORC1の異常活性化に起因し、炎症病態を伴う様々な疾患について、本シグナル経路が関与するかについて今後詳細な解析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
研究用資材の年度内購入が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資材入手後は6月までに当初の研究計画を達成することができる。
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