2015 Fiscal Year Annual Research Report
IGF1シグナル経路の調節機構をターゲットとした脳腫瘍幹細胞の新規治療開発
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26830082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大須賀 覚 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD) (70724574)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳腫瘍幹細胞 / グリオーマ / 放射線抵抗性 / IGF1 / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経膠芽腫は治癒困難な脳腫瘍である。その難治性の原因として、腫瘍内に存在する脳腫瘍幹細胞(GSC)が挙げられている。しかし、現在もGSCに対する有効な治療法は開発されていない。申請者らは以前に、GSCが反復放射線照射を受けると、IGF1-FoxO3aシグナルを介して放射線抵抗性を獲得することを解明している。本研究では、IGF1の下流でFoxO3a以外の性質変化に関与している分子メカニズムを解明し、GSCの抵抗性機序を阻害する新規治療開発を目指した。研究期間中に得た成果を以下に列記する。 1、IGF1発現GSCの樹立:脳腫瘍内でのIGF1発現分布を見るために、Flag-tag付きのIGF1発現ベクターを作成した。また、IGF1刺激後のシグナル経路の活性化をダイナミックに解析するために、Dox誘導Flag-IGF1発現ベクターも作成した。IGF1強制発現ベクターを導入したGSCは、in vitroとin vivo ともに、コントロール細胞よりも強い放射線抵抗性を示した。 2、細胞接着と放射線抵抗性:以前の研究で樹立したGSCと放射線抵抗性GSC(IGF1高発現細胞)をマイクロアレイ解析で比較した。有意な発現変化のある遺伝子227個を同定した。さらに、Gene set enrichment analysisを行い、IGF1高発現GSCでは、幹細胞特性と細胞接着に関わるものが亢進していた。 3、N-cadherinの同定:同定した細胞接着因子の中で放射線抵抗性に関わるものとしてN-cadherinを同定した。この発現量は放射線抵抗性と相関していた。 今後の研究では、本研究で樹立したDox誘導IGF1発現GSCを利用して、IGF1がどのようにN-cadherinの発現を誘導しているのかと、N-cadherinが放射線抵抗性を引き起こす分子メカニズムを解明する。
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