2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26830090
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤下 晃章 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 主任研究員 (50511870)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マウスモデル / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 腸管腫瘍形成におけるMAPK経路の役割の解明 大腸がんマウスであるCtnnb/KRasマウスに対するMEK阻害薬の効果を正確に検証する為、家族性大腸ポリープ症モデルマウスであるApcマウスの良性腫瘍におけるMAPK経路の役割を解明し、以下の成果を報告した。 MEK阻害薬であるトラメチニブは腸管腫瘍形成を有意に抑制した。また腸管良性腫瘍におけるMAPK経路の活性化は腫瘍上皮でなく、特に血管内皮細胞や線維芽細胞など腫瘍間質細胞で認められた。さらにMAPK経路はこれら間質細胞のCOX2の発現を制御しており、トラメチニブを投与するとCOX2とその下流のCCL2の発現、さらに血管新生を抑制した。同様の効果をマウスから単離した線維芽細胞でも確認している。これらの結果はCtnnb/KRasマウスにおいても間質細胞が標的となる可能性を示唆している。 2. mTOR阻害薬、MEK阻害薬およびEGFR阻害薬の腺がん形成に対する効果の検証 Ctnnb/KRasマウスを用いて、KRAS変異大腸がん形成におけるmTOR経路およびMAPK経路の役割を解明するため、mTOR阻害薬AZD8055、MEK阻害薬トラメチニブを投与し腸腺がん形成に対する効果を検証した。またKRAS変異大腸がんはEGFR阻害薬に抵抗性を示すことからEGFR阻害薬エルロチニブを投与し抵抗性に関する評価を行った。トラメチニブの投与によりCtnnb/KRasマウスの腺がん形成を強力に抑制した(直径2 mm以上:30個以下)、またAZD8055の投与でも腺がん形成を抑制したのに対し(直径2 mm以上:70個以下)、エルロチニブ投与では抑制効果が認められなかった(直径2 mm以上:200個以上)。これらの結果はKRAS変異大腸がんでもmTOR経路及びMAPK経路が治療標的となる可能性を示唆している。また一部の腺がん形成を抑制できなかったことから、Krasの変異が上記の阻害薬にも抵抗性を示すことを明らかにした。現在トラメチニブやAZD8055の投与で残存する腺がんの解析を行っている。
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Research Products
(6 results)