2015 Fiscal Year Annual Research Report
解糖系亢進に基づく乳癌新規治療法の探索と事前効果予測に関する研究
Project/Area Number |
26830093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 章子 東北大学, 大学病院, 助教 (50723912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳癌 / PET / 解糖系 / 治療効果予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.PETによる検討:乳癌のひろがり(手術標本)とs-PEM(specimen-PEM;乳房専用PET検査装置)で得られた広がり診断の相関性は偽陽性はあるもののおおむね良好であった。HKII以外の他の解糖系関連因子の検討:癌の糖代謝亢進メカニズムを利用した18F-FDG-PET/CTで検出されない癌では、嫌気性解糖の最終産物である乳酸が癌の増殖に関与している可能性がある。乳酸トランスポーターMCT1の発現が強く見られる群で、SUVmaxが低い傾向があり、MCT1の発現が強い細胞株HCC38は、解糖系阻害剤2DG(2-Deoxy-D-glucose)の添加による増殖の抑制がみられず、乳酸を利用した代謝が癌治療の標的となる可能性が示唆された。 2.HKIIの治療効果予測因子としての検討:HKII発現が術前化学療法の治療効果判定因子となりえるかを検討した。術前化学療法施行した症例108例で、Ki-67とHKIIは針生検(CNB)標本では相関していた(P=0.019)が手術標本では相関性がなかった(P=0.84)。HKII(CNB)と化学療法治療効果は治療効果が高いもの(Grade3+2)はHKIIの発現率が低い傾向にあったが有意な相関はなかった。以上より、従来の予測因子に加えてさらなる層別化の可能性があることが判明した。今後症例数を増やし、薬剤抵抗性を確認するため細胞株を使用した検討を予定している。 3.モデルマウスでの検討:東北大学サイクロトロンセンターと協力して施行した担癌マウスのPET/CT検査では腫瘍の画像描出が可能であった。今後担癌マウスでHKIIinhibitor(3-bromopyruvate)の抗腫瘍効果と画像の相関関係を検討する。 4.原発巣と転移巣を用いた新規代謝因子の解明:9症例のPPPE組織標本(再発癌発巣、転移巣、無再発癌発巣)をもちいて、RNAシーケンスを行うためにRNAの抽出を行ったが品質チェック(QC)にて断片化したRNA (200nt)のみしか得られす、ライブラリ調整まで進行できなかった。今後凍結標本を蓄積して再検討する予定である。
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