2015 Fiscal Year Research-status Report
個別化治療を目的とした胸腺腫瘍に対する分子生物学的解析
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26830095
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大瀧 容一 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00625402)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | STMN1 / RNAseq / 網羅的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺腫は縦隔腫瘍のなかでは最も高頻度に発生する疾患であるが、他の固形癌と比すと比較的稀な疾患であり、本研究は遺伝子変異やRNA・蛋白レベルでの発現異常について明らかにすることを目的としている。 現在までに約100例の胸腺上皮腫瘍(胸腺腫・胸腺癌)の臨床情報およびFDG-PETなどの画像上情報、および病理学的な情報の集積を行った。また、パラフィン包埋された切除標本から免疫組織化学用の未染標本を各症例15枚ずつ作成した。 微小管の代謝を調節することで,細胞分裂や分化の調節をする重要な細胞質リン酸化蛋白であるSTMN1に着目し、これまでにその発現の意義について組織型、予後との関連を比較を行った。その結果、胸腺上皮腫瘍では他の癌腫と異なり,STMN1(+)症例がSTMN1(-)症例よりも予後が良好であるという結果を得た。また、特に予後良好なリンパ球優位の組織型においてリンパ球でもSTMN1発現の割合が高く,STMN1発現は予後良好因子であった。以上から,胸腺上皮腫瘍においてはSTMN1が未熟リンパ球の微小管の代謝を調節することで,腫瘍の進展に抑制的に機能し、予後の改善に寄与している可能性が示唆されたため、今後関連するマーカーとしてCD8,Ki67やCD45ROなどの免疫染色を追加、検討の予定である。 また、前向きに約40例の組織(胸腺組織腫瘍部・正常部)の集積を行い、所謂肺腺癌におけるdriver gene mutationについて検索を行った。現在、凍結腫瘍組織からRNAの抽出を施行した。今後、NGSにてRNAseqを行い、各組織型や病期毎での発現の比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺腫上皮腫瘍におけるSTMN1発現の意義についての検討を行った。 また、当初の計画通りに症例集積が進み、RNAの抽出まで終えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
STMN1発現に関しては、さらにその発現の意義についてをより明らかとするべく、腫瘍内未熟リンパ球および腫瘍上皮細胞に対して関連蛋白(CD8,Ki67との比較)や腫瘍免疫関連因子(PD-L1など)についても、発現の比較を行う予定である。 また、RNA解析については、今後は次世代シーケンサーでの解析を当初の予定通り進める方針である。
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Causes of Carryover |
物品や試薬に高額を要する次世代シーケンサーでの解析に関して平成27年度に施行予定であったが、平成28年度に施行が繰り越しとなったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に次世代シーケンサーでの解析を含め、計画にそって実験を進める予定である。
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