2014 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療新規マーカー開発を志向した非コードRNAの新規機能解析
Project/Area Number |
26830096
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 隆 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20721939)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 放射線治療 / ncRNA / lncRNA / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては新規放射線治療法確立を目指した、放射線新規応答メカニズム解明を目的としています。ターゲットとしては近年活発な研究が世界中で行われるようになってきた非コードRNA(non-coding RNA; ncRNA)です。DNAからmRNAが作られ、それを鋳型としてタンパク質が作られ、そのタンパク質が様々な生理機能(骨格維持、代謝等)を担っています。しかしながら、近年のゲノム研究において、DNA上のタンパク質をコードする部分は生物が高等になるに従い減少していき、ヒトにおいてはわずか2%ほどで、残りのおよそ98%は非コード部分ということがわかってきました。さらに、この非コード部分からも大量のRNAが作られてきているものの、それらはタンパク質の鋳型となることはないという性質を持つのでncRNAと呼ばれています。このncRNAは現在では、コード部分からも作られてきていることが報告されています。これらの知見から、このncRNAこそがヒトにおける複雑な機能発揮の鍵を握るのではないかと考えられております。一方、がん治療において、非侵襲性の性質をもち、外科療法に不適応の患者群にも適用可能な放射線治療が現在注目されていることから、よりよい治療効果発揮をめざした放射線治療の新規生物学的メカニズム解明や治療バイオマーカーの確立が至上命題となっています。私は、ncRNAの中でも、ほとんどが機能未知である長塩基長のncRNA(long ncRNA; lncRNA)を主なターゲットととし、各種臓器がん由来の培養細胞系を用いて、放射線治療新規バイオマーカー確立をめざすべく分子生物学的・細胞生物学的観点から研究を遂行した。放射線を照射したがん由来細胞を用いて、lncRNAの細胞内動態変化を調べたところ、放射線照射前後において顕著に変化するものがいくつか同定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階で、放射線応答に関わるlncRNAをいくつか同定しつつあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射線応答に関わるlncRNAを同定し、再現性を確認した後には、それらのlncRNAが具体的にどのような機能に関わるか、また、どういったメカニズムを介して機能に関わっていくかを解明していく予定です。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より、初年度は研究計画が比較的順調に進み、実験を失敗することがなく、試薬が少なくて済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度得られた研究成果をさらに発展させていく予定です。具体的には、初年度、放射線応答lncRNAとして同定されたものの機能解析を進めていきます。lncRNAの機能解析や生体内動態解明は比較的難しい手法を必要とし、初年度よりも高度な実験が必要となりますので、今年度の繰り越した分と次年度請求した分と合わせた金額を使い、効率よく最先端の手法を用いた研究を進めていく予定です。
|
Research Products
(3 results)