2014 Fiscal Year Research-status Report
脂質修飾c-di-GMP 封入MENDによるガン免疫治療
Project/Area Number |
26830101
|
Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
兵藤 守 愛知工業大学, 工学部, 講師 (30548186)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ガン免疫療法 / アジュバント / ドラッグデリバリーシステム / c-di-GMP / YSK05 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では環状ジヌクレオチドを封入したリポソームを用いるがん免疫療法を目的としている。 これまでの研究成果から環状ジヌクレオチドは細胞質に存在するSTINGに結合し、強く1型インターフェロンを誘導することがわかっている。しかし、環状ジヌクレオチドはリン酸基を有するため単独で細胞膜を突破することは難しい。そこで申請者は環状ジヌクレオチドをリポソームに封入することでこの問題を克服することを考えた。 昨年度、申請者は代表的な環状ジヌクレオチドである c-di-GMP を当研究室で開発された合成脂質である YSK05 を含むリン脂質およびコレステロールからなるリポソームに封入したシステムを開発し、さらに免疫担当細胞に対する1型インターフェロンの誘導量を指標に脂質組成の最適化を行うことにより c-di-GMP/YSK05 liposome を完成させた。 次に、我々は c-di-GMP/YSK05 liposome を生理活性試験に供し、がん免疫療法に使用できるかどうか検討した。始めに最適化された c-di-GMP/YSK05 liposome を既存のトランスフェクション試薬であるLipofectamine2000もしくはリポソームであるDOTAP リポソームと比較した結果、c-di-GMP/YSK05 liposome は7倍程度高いIFN誘導を示し、YSK05 は高いDDS能力を示すことが明らかになった。さらにSTINGによる免疫誘導を阻害するBX795を用いると c-di-GMP/YSK05 liposome による免疫誘起が阻害されたため c-d-GMP/YSK05 liposome による免疫誘導は確かに c-di-GMP によるものであることが証明された。最後にOVA過剰発現したがん細胞を接種したマウスに対して、抗原としてOVA、アジュバントとしてc-di-GMP/YSK05 liposome を用いてがん細胞の生着を見たところ、c-di-GMP/YSK05 liposome は著しくガン細胞の成長を阻害することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで申請者は c-di-GMP/YSK05 liposome を完成させ、それを生理活性試験に使用した。その結果、最適化された c-di-GMP/YSK05 liposome はLipofectamine2000もしくはリDOTAP リポソームと比較して7倍程度高いIFN誘導を示し、さらに、アジュバントとして必要であると考えられる各種の共刺激分子、CD80, CD86, MHC-class I, MHC class-II を発現させた。さらにOVA過剰発現したがん細胞を接種したマウスに対して、抗原としてOVA、アジュバントとしてc-di-GMP/YSK05 liposome を用いてがん細胞の生着を見たところ、c-di-GMP/YSK05 liposome は著しくガン細胞の成長を阻害することに成功した。 このように申請者は c-di-GMP/YSK05 liposome が申請者の作業仮説に従って in vitro および in vivo にて免疫活性化作用を示していることを証明しているため、本研究は順調に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回、申請者はc-di-GMP/YSK05 liposome のアジュバント効果を証明している。しかし、この系はOVAを抗原とし、OVA発現がん細胞を攻撃させるシステムであるため、比較的結果の出やすいシステムであることは否定できない。次はOVAを用いず、c-di-GMP/YSK05 liposome のアジュバント能力のみでガン細胞の生着阻害作用を示すかどうかを検討していく。
|
Causes of Carryover |
申請者は予算を適切に執行し、その結果 16143円の残額が生じた。無理やり使用することは本意ではなく、少額ではあるものの、来年度に回したほうが良い研究ができると考え、このような処理に至った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、c-di-GMP/YSK05 liposome を確立し、研究は順調に進行しているが、本系には一つ問題がある。通常のc-di-GMPをリポソームへ封入しているが、計画書で示した通り、封入率が必ずしも高くない。そこで脂質修飾c-di-GMPを合成し、その問題を克服する。本予算はその合成研究に使用する。
|
Research Products
(6 results)