2015 Fiscal Year Annual Research Report
PI3 KおよびERKパスウエイを標的としたKRAS変異腫瘍に対する新規治療開発
Project/Area Number |
26830105
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
衣斐 寛倫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (00645145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / KRAS / 上皮間葉移行 / MEK阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ERKパスウエイを阻害することを目的に、KRAS変異肺がん細胞株に対しMEK阻害薬を添加した。MEK阻害薬はERKシグナルを一時的に遮断していたが、24時間後には再活性化を認めた。また、MEK阻害薬の投与によりPI3Kシグナルの活性化上昇も認められた。この結果は、MEK阻害薬が何らかのフィードバック機構を誘導し、PI3K、ERKシグナルの活性化を行うことを示唆していた。このフィードバック機構の解明がKRAS変異腫瘍におけるPI3K,ERKシグナルの制御につながると考え、そのメカニズムについて検討した。その結果、ERBB3タンパクとFGFR1タンパクがフィードバック機構に関与していることが示された。ERBB3とFGFR1の関与については、がん細胞が上皮系の性質を有している際にはERBB3を介したフィードバックが行われ、間葉系の性質を有している時にはFGFR1を介したフィードバックが行われていた。間葉系の性質を示すKRAS変異肺がん細胞株に対しFGFR阻害薬とMEK阻害薬を併用したところ、ERKシグナルの完全な遮断が得られた。また、MEK阻害薬添加後に認められたPI3Kシグナルの上昇についてもFGFR阻害薬併用により消失を認めた。この結果は、本研究課題の目的であるPI3KシグナルおよびERKシグナルを標的とした治療がFGFR阻害薬とMEK阻害薬の併用療法により可能となることを示唆していた。このため間葉系の性質を示すKRAS変異肺がん細胞株について両薬剤の併用効果を確認したところ、細胞増殖の抑制とアポトーシスの誘導が認められた。今後、FGFR阻害薬とMEK阻害薬の併用療法の有効性について、マウスゼノグラフトモデル、患者腫瘍由来ゼノグラフトモデルなどを用い評価する予定である。さらに、肺がん以外のKRAS変異腫瘍についても同様の解析を進める予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Measurement of PIP3 levels reveals an unexpected role for p110β in early adaptive responses to p110α-specific inhibitors in luminal breast cancer.2015
Author(s)
Costa C, Ebi H, Martini M, Beausoleil SA, Faber AC, Jakubik CT, Huang A, Wang Y, Nishtala M, Hall B, Rikova K, Zhao J, Hirsch E, Benes CH, Engelman JA.
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Journal Title
Cancer Cell
Volume: 27
Pages: 97-108
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Lack of association between the BIM deletion polymorphism and the risk of lung cancer with and without EGFR mutations.2015
Author(s)
Ebi H, Oze I, Nakagawa T, Ito H, Hosono S, Matsuda F, Takahashi M, Takeuchi S, Sakao Y, Hida T, Faber AC, Tanaka H, Yatabe Y, Mitsudomi T, Yano S, Matsuo K.
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Journal Title
Journal of Thoracic Oncology
Volume: 10
Pages: 59-66
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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