2014 Fiscal Year Research-status Report
poly-G ODNを用いた新規抗腫瘍免疫療法の開発
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26830111
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 信明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60468155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 合成オリゴヌクレオチド / 抗腫瘍免疫活性 / poly-G ODN |
Outline of Annual Research Achievements |
ⅰ)原発性肺癌患者の末梢血中単核球および癌性胸水中の単核球におけるpoly-G ODNの生理活性の検討 原発性肺癌患者より採取した癌性胸水より単核球を抽出、poly-G ODNを添加し24時間後にBrdUを用いたcell proliferation assayを行った。9症例の検討を行い、contorol ODNやmediumを添加した場合と比して、3-5倍程度の細胞増殖が認められ、FACSによる解析の結果、増殖した細胞は大部分がCD8陽性T細胞であることが明らかとなった。続いて肺癌患者の末梢血より分離した単核球を用いて同様の検討を行い、poly-G ODNにより2-3倍程度CD8陽性T細胞が増殖することが明らかとなった。また、同様の検体を用いて、IFN-gamma産生に関する検討を行い、症例数は少ないがpoly-G ODNによりIFN-gammaの産生が増強することを示唆する結果が得られた。 ⅱ)癌性胸水における免疫環境と腫瘍微小環境における免疫環境との相同性に関する検討 癌性胸水を有する肺癌患者より採取した胸水と末梢血を用いて、まず制御性T細胞(Treg)およびTh17細胞について検討を行った。胸水中のTregは14.5±8.6%に対して末梢血は10.7±3.5%であった。Tregの頻度と末梢血リンパ球の反応性の相関を検討するために、末梢血単核球に対するPHA刺激後のIFN-gamma産生細胞数を調べたところ、末梢血Tregの頻度とは相関するものの、胸水では相関が見れず、全身の免疫環境と胸水中の免疫環境は異なっている事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト検体特に肺癌症例から検体採取が進み、予定していたpoly-G ODNによる免疫賦活効果がヒトにおいても示す事ができた。このメカニズムについては現在解析がすすんでおり、おおむね計画通りに進行するものと思われる。 胸水と腫瘍微小免疫環境との相同性に関する検討においても、胸水での検討は計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺癌症例より採取した胸水、末梢血においてpoly-G ODNによる免疫賦活作用(エフェクターT細胞の増殖作用)が確認された。臨床応用に向けて、poly-G ODNの免疫細胞に対する作用機序を明らかにするために、PCRアレイを用いてpoly-G刺激後のサイトカインやケモカインの発現を網羅的に解析する。得られた結果に基づいて、臨床検体および培養細胞を用いて検証実験を行い、細胞レベルでのメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入物品の価格改定などにより、購入予定額と実際の購入額に差が生じ、繰越額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度繰越額と平成27年度助成額次年度使用額については、当初の計画に基づいて、細胞表面抗原マーカー検出用の抗体や各種サイトカイン測定用の試薬などの購入に充てる予定である。
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