2014 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の免疫逃避機構の解明と、次世代免疫逃避解除型がんワクチン療法の臨床開発
Project/Area Number |
26830117
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大植 祥弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70435014)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺癌 / 免疫 / 予後 / 腫瘍免疫 / がん抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌は世界の癌死の第一位で本邦でも増加の一途にあり予防と新規治療法の開発は急務である。近年、悪性黒色腫を先導に肺癌でも抗体免疫療法の道が開かれたがその効果は未だ限定的であり、肺癌でも強力な免疫誘導効果をもたらす治療法の開発が必要である。我々は、肺癌のうち最も頻度の高い肺腺癌に発現するXAGE1(GAGED2a)抗原に注目し肺癌患者における宿主免疫応答を検討した。 XAGE1(GAGED2a)に対する抗体反応は、肺癌で46/537(8.6%)、非小細胞肺癌46/500(9.2%)、進行期肺腺癌34/167(20.4%)で認められ、進行期肺腺癌で高頻度にXAGE1(GAGED2a)に対する特異的反応が認められた。抗体陽性患者11名において、XAGE1(GAGED2a)抗原特異的なCD4およびCD8 T細胞の反応を検討した。CD4 T細胞では、抗原特異的なIFN-γ/TNF-αの産生は7/11(64%)で、IL-5/IL-13は1/11(9%)、IL-17A/IL-17Fは3/11(27%)、IL-10は0/11(0%)で認めた。一方、CD8 T細胞では、抗原特異的なIFN-γの産生は4/11(36%)で、TNF-αは6/11(55%)で、IL-10は0/11(0%)で認めた。 この知見は、XAGE1(GAGED2a)に対する宿主免疫応答は、肺腺癌で免疫監視効果を発揮していることを示唆している。今後、肺腺癌においてXAGE1(GAGED2a)免疫と予後との関係を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、がん抗原として同定された抗原は多数存在するが、通常、免疫原性が弱く、がんの自然経過中にがん患者の免疫反応をモニタリングできる程強い免疫原性を有する抗原はほとんどない。XAGE1(GAGED2a)抗体反応が進行期肺腺癌に高頻度で認められる事が明らかとなり、また抗体陽性患者では細胞性免疫も誘導されていることが確認できた。今後、XAGE1(GAGED2a)免疫を指標として予後との関係を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、がん抗原として同定された抗原は多数存在するが、通常、免疫原性が弱く、がんの自然経過中にがん患者の免疫反応をモニタリングできる程強い免疫原性を有する抗原はほとんどない。XAGE1(GAGED2a)免疫を進行期肺腺癌で確認できたことは大きな成果である。。今後、XAGE1(GAGED2a)免疫を指標として予後との関係を明らかにし、また予後との関係の中で、XAGE1(GAGED2a)免疫の耐性機構の解明を行う。
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Causes of Carryover |
抗体陽性者と陰性者での末梢血における免疫抑制分子の発現解析が年度をまたがった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は上記解析に充てる予定であり、順調に研究計画は遂行できている。
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Research Products
(8 results)