2014 Fiscal Year Research-status Report
新規ゴルジ阻害剤M-COPA誘導性の細胞死に関与する小胞体ストレス分子機序の解明
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26830120
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
赤塚 明宣 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (30649364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / ゴルジ体 / 小胞体ストレス / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1, PERKを中心としたERストレス関連分子の変動解析 M-COPA感受性株であるBSY-1、および、耐性株であるHT-29細胞に対してM-COPAを添加した後、ウェスタンブロット法でERストレス関連分子について解析した。その結果、どちらの細胞でもERストレスセンサー分子であるPERKやIRE1αについて、時間・濃度依存的にリン酸化が誘導され、M-COPAがERストレスを誘導する事が示された。また、M-COPAが誘導する遺伝子発現変動をパスウェイ解析したところ、最も関連性の高かったのはERストレス応答となった。この結果から、M-COPAが有する主たる生理活性は、ERストレス応答であることが示唆された。一方、ERストレス経路下流のPERK-CHOPシグナルはM-COPAによってBSY-1で顕著に亢進したものの、HT-29ではほとんど活性化は認められなかった。さらに、BSY-1細胞に対してPERKのsiRNAを用いることで、M-COPA耐性となる事を見出した。これらの結果より、M-COPAのBSY-1に対する抗がん活性に対して、PERKは促進的に働くと結論された。
2, In vitroおよびin vivoでのM-COPA耐性細胞の作製 BSY-1ゼノグラフトを持つ担がんマウスに対してM-COPAを投与すると、BSY-1は一度退縮するが、一部の個体では20から40日後に再増殖が見られた。再増殖したBSY-1に対してM-COPAを連続投与し、in vivoでM-COPA耐性BSY-1を樹立した。一方、in vitroでBSY-1に対してM-COPAを反復投与することで、親株と比較してM-COPAに100倍以上の耐性を持つBSY-1の樹立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1, PERKを中心としたERストレス関連分子の変動解析 予定した解析のほぼ全てを完了済みである。27年度の実施計画である、UPRシグナル分子に対するshRNAやレンチウイルスを用いた変異体の導入についても、現在進行中である。 2, In vitroおよびin vivoでのM-COPA耐性細胞の作製 耐性細胞の作製は完了しており、現在親株との比較が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1, PERKを中心としたERストレス関連分子の変動解析 平成26年度に得られたデータを基に、PERKやBiPなどについてノックダウン、過剰発現や、変異を導入した遺伝子改変細胞を作製し、in vitro および in vivo ゼノグラフトモデルでM-COPA 薬剤感受性を検討することで、in vivoでM-COPA感受性に寄与する因子を特定する。 2, M-COPA耐性細胞の解析 平成26年度に得られた耐性細胞を基に、マイクロアレイやウェスタンブロット法による親株との比較を行い、M-COPA獲得耐性メカニズムの解明を目指す。
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