2014 Fiscal Year Research-status Report
EMTを制御する新規DNA認識化合物によるヒトiPS細胞誘導の高効率化
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26830134
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 孝輔 日本大学, 医学部, 研究員 (80624163)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | EMT / iPS / PIポリアミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は導入効率が非常に高く、デリバリー試薬なしに生体に安定に取り込まれる新規DNA認識化合物PIポリアミドを用いて、短期間且つ高い誘導効率を望めるEMT制御によるヒトiPS細胞樹立法を開発することである。 既に設計、合成済みのTGF-β1抑制性PIポリアミドに加え、新たにヒトTGF-β2、ヒトTGF-β1レセプター、ヒトTGF-β2レセプターのプロモーター領域に対するPIポリアミドを設計、合成し、EMT誘導型上皮細胞に投与し、EMT抑制効果を評価した。合成したそれぞれのPIポリアミドは標的とした遺伝子の発現抑制は示さなかった。 TGF-β1遺伝子抑制PIポリアミドのみでヒトiPS細胞誘導効率を検討したところ、非投与群と比べiPS細胞様コロニーがiPS細胞誘導開始から14日後の時点で約2倍の割合で有意に増加した。またそれらのコロニーはヒトiPS細胞に特異的なマーカータンパク質を発現し、PIポリアミドを投与して作製したiPS様細胞の胚性幹細胞特異的マーカー遺伝子、分化マーカー遺伝子の発現プロファイリングを行ったところ、PIポリアミド非投与群と同様の遺伝子発現変化の挙動を示した。以上のことより、現時点で、TGF-β1抑制性PIポリアミドがEMTの誘導を特異的に抑制し、結果リプログラミング過程を促進して従来の誘導法より短期間でかつ高い誘導効率を示すヒトiPS細胞誘導法の開発に有用であることが示唆された。 今後、再度ヒトTGF-β2、ヒトTGF-β1レセプター、ヒトTGF-β2レセプターのプロモーター領域に対するPIポリアミドの合成を行いEMT制御能をもつPIポリアミドの作製を試み、より高い誘導効率を示すヒトiPS細胞誘導法の開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに作製するヒトTGF-β2、ヒトTGF-β1レセプター、ヒトTGF-β2レセプターのプロモーター領域に対するPIポリアミドをそれぞれ一つ設計、合成して、ゲルシフトアッセイによる目的配列への結合能、リアルタイムPCR法を用いた標的遺伝子、EMTマーカー遺伝子の抑制能の評価を行ったが、結果としてそれらのPIポリアミドはEMT制御能を有していなかった。よって未だEMT制御能を有したそれぞれのPIポリアミドが作製できておらず、ヒトiPS誘導効率の評価を行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトTGF-β2、ヒトTGF-β1レセプター、ヒトTGF-β2レセプターの標的とするプロモーター領域の転写因子結合領域を変更し、PIポリアミドを再度合成する。作製したそれぞれのPIポリアミドのDNA結合能、細胞核内導入効率、細胞毒性、EMTに対する抑制効果を検討し、センダイウイルスによりリプログラミング因子を導入したヒト繊維芽細胞に、作製したPIポリアミドを併用し、ヒトiPS細胞の誘導効率を検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画当初見積もった物品の単価が購入先の業者のキャンペーン価格等でより安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に持ち越して、細胞の培養液、培養成分に関する試薬の購入に使用する。
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