2014 Fiscal Year Research-status Report
人工細胞を用いた遺伝学的および合成生物学的手法の融合
Project/Area Number |
26830139
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 航 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (10722184)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 合成生物学 / 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、構成的遺伝学の研究フローの確立に成功した。フローは、【1】遺伝子ライブラリとレポーターベクターを含む人工細胞ライブラリの構築、【2】セルソーターによるレポーターシグナル陽性細胞群の単離、【3】次世代シーケンサーによる含有遺伝子の超高速並列同定の三段階からなり、すべての陽性細胞に共通する因子が必要十分条件と決定される。 構成的遺伝学を確立するために、大腸菌のガラクトース加水分解システムをモデルとし、そのハイスループット再構成を試みた。大腸菌ガラクトース加水分解システムは、LacZのみを必要十分条件とする最もシンプルな生物学的システムである。 大腸菌の約4000の全遺伝子を出発点とし、上記フローに従って、ガラクトース加水分解システムの必要十分条件を探索したところ、一度の実験で、LacZを全遺伝子から同定することに成功した。全プロセスに必要とされる時間は一週間であり、構成的遺伝学は従来の遺伝学的手法に比べ、非常に効率的な方法論であると考えられる。 次の年度には、当初の計画通り、大腸菌のゲノム修復プロセスをターゲットとし、構成的遺伝学の実証研究を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構成的遺伝学の確立を目指すという当初計画に対し、順調に研究が進捗した。当該成果は、Scientific Reports誌に、「Integrating reductive and synthetic approaches in biology using man-made cell-like compartments」というタイトルで発表している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までの研究により、構成的遺伝学という新規概念が、成立しうることを証明した。しかし、いまだガラクトース加水分解システムという、最もシンプルな生物学的システムに対して適用できることを証明したのみである。そのため今後は、より複雑な、しかも必要十分条件の知られていないゲノム修復システムをターゲットにすることで、構成的遺伝学がより広い一般性を持つことを証明していく予定である。
|