2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26830146
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
成瀬 貫 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (30398309)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中深度サンゴ群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
中深度サンゴ礁の分布調査を、西表島西部の船浮湾、網取湾、内離島・外離島周辺、上原集落沖、鳩間島周辺などで行った。その結果、各地より想像を超える規模の中深度サンゴ礁を発見し、それらの分布場所を記録することができた。これらの中深度サンゴ群集の構成種と地形との関連性について現在検証中であるが、海底の傾斜がゆるやかな内湾にはリュウモンサンゴのような大型な葉状のサンゴ類が多く、傾斜が大きい場所には枝上のミドリイシ類や細かい葉状のセンベイサンゴ類などのサンゴ類が多い傾向にあった。しかし、斜面が緩やかでもホソヅツミドリイシやトゲミドリイシ属の1種が優占したり、また潮通しのよい場所でもリュウモンサンゴが優占するなど、例外も多く見られた。これらの結果より、中深度サンゴ群集の出現パターンを類型化するにはさらに多くの事例を検証する必要があることが分かってきた。現在は、西表島周辺より発見された中深度サンゴ礁より代表的な場所を3ヶ所選定し、中深度及びその上方に位置する上部浅海帯(~20m)の造礁性イシサンゴ類群集の水温や光強度等を記録するロガーを設置して環境情報を集積中である。現在までに得られている一部の結果として、例えば船浮湾の湾口近くにも中深度サンゴ群集が分布するが、上部中深度とされる水深30m以下の光強度を、造礁性イシサンゴ類の多様性が高い上部浅海帯の水深10mと比べると、30mでは水深10mの39.5%であり、さらに40mからは急に減少して8.2%、50mでは8.1%となった。このことから、中深度サンゴ群集は浅場に生息するサンゴ類に比べて、非常に弱い光を好んでいる事が追認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中深度サンゴ礁の分布場所を把握する調査は順調に進み、多くの群集を発見・記録することができた。群集の構成種の把握を進める調査を後半に予定していたが、台風等による海況の悪さが続き、安全面を重視して調査を見送る事が多かったため、本研究の進捗状況は当初予定していたより若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の後半に予定していた構成種の把握を進める調査が遅れているため、本年度では比較的海況のよい前半にそれらの調査を進める。また本年度では、琉球列島の他の島での調査も予定しており、各地での調査が円滑に進むよう、現地での協力者と準備を入念に行う。
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