2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンH1ユビキチン化によるゲノム安定性制御機構
Project/Area Number |
26840003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 広介 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90466673)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲノム安定性 / ヒストンH1 / ユビキチン / クロマチン / G1/S遺伝子群 / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、VprBPによる、ヒストンH1ユビキチン化を介したゲノム安定性制御機構の解明を目的としている。これまでにVprBPによるヒストンH1のユビキチン化が、DNA組換え修復関連遺伝子群の転写活性化を介してゲノム安定性制御に関わる可能性が示唆され、平成27年度はそのメカニズムの解析を中心に行った。U2OS細胞でのVprBPの発現抑制により、Rad51やBRCA1などの相同組換え修復に関連する遺伝子とともに、CDK2やMCMなど細胞周期やDNA複製に関連する遺伝子の転写量の減少が観察された。またヒストンH1バリアントの1つであるヒストンH1.2の発現抑制によってもこれら遺伝子の転写量の減少が観察された。以上の結果から、VprBPおよびヒストンH1.2はG1-S遺伝子群の転写活性化に関わる可能性が示唆された。VprBPとヒストンH1がG1-S遺伝子群の主要な転写因子であるE2Fの転写制御に関わる可能性を検証した。その結果、VprBPとヒストンH1.2の発現抑制により、主要な転写活性化型E2FであるE2F1とE2F2の転写が減少した。またp53遺伝子を欠損しているSaos-2細胞を用いて同様の検証を行い、VprBPとヒストンH1.2によるE2F遺伝子転写制御がp53非依存的であることを確認した。VprBPによるE2F1転写制御機構をより詳細に解析するため、RNAポリメラーゼIIとヒストンH1.2のE2F1遺伝子上での分布をクロマチン免疫沈降により検討したところ、VprBPの発現抑制により遺伝子コーディング領域におけるRNAポリメラーゼIIおよびヒストンH1.2の結合量低下が観察された。以上の結果より、VprBPはヒストンH1.2依存的にE2F1およびその標的であるDNA組換え修復遺伝子の発現促進を介して、DNA損傷応答に関わる可能性が示唆された。
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