2014 Fiscal Year Research-status Report
tRNAの新規成熟経路の解析と5’キャップによる成熟制御機構の解析
Project/Area Number |
26840005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大平 高之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90727520)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | tRNA / 成熟化 / 5'キャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の計画のうち、①「新規tRNA成熟経路に関わるtRNA輸送因子の同定」については、新規成熟経路において核外輸送を担う因子の絞り込みを行い、絞り込んだ因子の発現制御株を用い解析を行ったところ、発現抑制条件下において新規成熟経路の成熟過程で生じるユニークな中間体が消失することを確認した。これは、この輸送因子が新規成熟経路における核外輸送因子であることを強く示唆する結果である。②「tRNA成熟経路の選択機構の解明」については、様々なRNA修飾酵素の遺伝子欠損株を用い解析を行った。その結果、期待通りこれら株においてユニークな中間体の蓄積量の増加が確認された。これは成熟経路の選択に前駆体tRNAにおけるRNA修飾の状態が影響しており、修飾率が低いほど新規成熟経路に流入しやすくなることを示唆している。③「前駆体tRNAに見出された5’キャップの生合成機構の解析」については、生合成に関わると考えられる既知の酵素の遺伝子欠損株あるいは発現制御株を作成し、それらにおいて前駆体tRNAの5'キャップ形成が阻害されるかどうか解析を行った。その結果、これら遺伝子を欠損あるいは発現を抑制した株において、前駆体tRNAにおける5'キャップの形成阻害が観察された。この結果は、前駆体tRNAの5'キャップは既知のキャップ生合成機構により形成されることを示しており、また、tRNAとmRNAやncRNAの成熟化が厳密に区別されているものではなく、その境界は曖昧であることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画のうち、①「新規tRNA成熟経路に関わるtRNA輸送因子の同定」については、候補因子の絞り込みを行い、その因子が新規成熟経路における核外輸送因子であることを強く示唆する結果を得ることに成功した。②「tRNA成熟経路の選択機構の解明」については、様々なRNA修飾酵素の遺伝子欠損株を用いた解析から、成熟経路の選択と前駆体tRNAにおけるRNA修飾との関連性が見出された。③「前駆体tRNAに見出された5’キャップの生合成機構の解析」については、前駆体tRNAの5'キャップ形成は既知のキャップ生合成機構が行っていることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は計画通りに実験を進める予定である。まず、26年度において新規tRNA成熟経路との関連が示唆された輸送因子が実際に前駆体tRNAと複合体を形成していることを証明する。次いで、その輸送因子がどのようにして前駆体tRNAを認識しているのかその認識機構について解析を行う。さらには、その際におけるRNA修飾の影響についても解析を行う。5'キャップについては生合成機構を明らかにしたので、次にその機能及び生理学的意義について解析を行う。
|
-
[Presentation] Pre-tRNA capping2014
Author(s)
Takayuki Ohira and Tsutomu Suzuki
Organizer
25th tRNA conference 2014
Place of Presentation
Kyllini Peloponnese, Greece
Year and Date
2014-09-21 – 2014-09-25